またーり書き込みしましょ(´・ω・`)

…今から数十年前。ノイエット村から一人の若者が家出をしようとしていた。

「ノインズ!!貴様、どこへ行く気だ!!お前はこの村の村長の跡継ぎなんだぞ!!」

「うるせえッ!俺は自由に生きる!!こんな狭い村じゃ息苦しすぎんだよ!!」

ノインズという青年は昔から世界を自由に旅することに憧れていた。
しかし、村長の息子という立場上、後を継ぎ村にいる事を強いられていたのである。
だが彼は夢をあきらめなかった。…20歳になり村長引き継ぎの儀を行う日の朝。
彼は荷物をまとめて父の制止を振り切り、村を飛び出した。

「はぁ…しっかしどうすっかな。どこに行けばいいのやら…」

村からあまり出たことのなかったノインズはどこに行けばいいか迷っていた。
すると、そんなところにモンスターが現れる。

「ぐるるぅ…」

「おっ…狼どもか。いいぜ、旅立ちの準備運動の相手になってくれよ!!」

ノインズは得意だった魔法で狼やムチンを蹴散らし、森を抜けた。
そして辿り着いたのは…海岸だった。

「ほおー…村の近くに海なんてあったのか。……ん?あそこ、船があるじゃねえか。乗せてってもらえねえかな?」

「おーい!誰かいるか?」

ノインズは留まってる船に外から話しかける。

「おーいって!!誰もいねえのか?」

「……うるせえなあ、誰だいったい」

中から出てきたのはノインズと同年代くらいの青年だった。

「おっ、やっぱり誰か乗ってたな。なぁ、その船に俺を乗せてくれねえか!?」

「…あ?お断りだぜ。俺が最初にこの船に乗せるのは女だって決めてんだ。帰れ」

「いいだろうがそんなケチ臭い。…じゃあ俺と勝負して勝ったら乗せてくれ!!」

「…なんだお前?こんなチンケな大陸の奴が俺に勝てると思ってんのか?」

「それはこっちのセリフだぜ。かかって来いよ」

「……このやろう!!」

それから二人の少年は戦った。勝ったのは、ノインズだった。

「つ、つええなアンタ…。名前はなんてんだ?」

「俺はノインズだ。…お前は?」

「…ウミナリだ。…乗れ、約束は守ってやるよ」

これがノインズとウミナリの出会いだった。




「…ついたぜ。俺の故郷だ」

「おおー!!すげえ!王城が見えるぞ!!」

ウミナリの故郷である大陸にたどり着いたノインズ達。

「それで、アンタこっからどうすんだ?金、あんまないんだろ」

船旅の最中、二人はお互いに自身の事を話し合っていた。
それでウミナリはノインズが当てもない旅を始めた事を知っていた。

「そうだな…まぁこの国を巡って色々考えてみるぜ。ここまで送ってくれてありがとうな!!」

「……あぁ。俺も楽しかった。また会おう」

そう言ってウミナリは去っていった。

「ふー、しっかし広え街だな…ん?」

「わーっ!!魔物が襲ってきたぞー!!」

前方から、若者が息を切らせながら魔物の襲撃を知らせに来る。
その若者の後ろを見てみると、確かに魔物が街に来ているようだ。

「おい!!騎士団はいないのか!?」

「そ、それがほとんど街の外へ行ってて…来れそうにないです!!」

そんな住民の話を聞いたノイエットは。

「……魔物か。…よし」

なんとたった一人で魔物を相手にしたのである。
この日の出来事は後に多くの人々に語り継がれることとなった。

「…そこのもの。魔法騎士団に入団することを認める」

そしてその功績と魔法の腕を買われ、国王直々に魔法騎士団への入団を許可されたのであった。
……が、しかしノインズはというと…

「……お断りさせてもらいます」

「な、なぬ!?」

「俺…実は冒険者になりたいんです。魔法騎士団は…あまり自分に合わないというか」

「むぅ…お主の魔法の腕なら冒険者としてもすぐ名を上げられるじゃろうが…」

「じゃが、どうじゃ。少しの間だけでも魔法騎士団に入ってくれぬか。それで気に入らなければ冒険者になればよい」

「はぁ…わかりました」

こうして王の説得により、ノインズは魔法騎士団に入団することとなった。

「お前が新入りか。お前はD部隊に加わることになったぞ」


「やあ、君がノインズ君か。すごいね、たった一人で街を守ったんだってね。俺はD部隊部隊長のソジェクだ。よろしく頼む」

「私はシズカ。魔法の腕はみんなほどないけど、杖の修理とか得意だから壊れたりしたら頼ってね。」

「すげえ筋肉質なのが入ってきたな。あぁ、オイラはレーウィーンっていうんだ。よろしくな」

他にも数人の隊員達と挨拶を交わし、ノインズの魔法騎士団での活動が始まった。


「おいノインズ!!起きろよ、もうとっくにみんな集合してんぞ!!!」


「ノインズ!訓練の時間にどこ行ってたんだよ!?」


「おいノインズ!!無茶すんじゃねえよ!!ひけ!!」

ノインズは…全く魔法騎士団に向いていなかった。
実力が無いという話ではなく、とにかく協調性がなかったのだ。

「もう…。みんな困ってたわよ?」

ここは王国の中でも5本の指に入るほど豪華なレストラン。昼食をとっていた
ノインズの近くの席に座ったシズカが、彼に話しかける。

「うるせえなあ。だから俺は自由にやれる冒険者になりたいっつったんだ。はあ…そろそろやめどきか?」

「やめたらここのレストランもそう簡単に利用できなくなるわよ?ここは魔法騎士団の関係者は優先して利用できるんだから」

「おまたせー!待った〜?」

「あっサイカ。ここよ〜!」

「……そいつは?」

「この子はサイカ。私の友達よ。サイカ、こないだ話したノインズさん」

「あっ…どうも」

「……魔法騎士団の関係者には見えないんだが」

「何言ってんのよ、魔法騎士団である私の友達なんだから魔法騎士団の関係者でしょーが」

「あ、あはは…ほんとに私が利用していいのかなここ…」

「大丈夫だって、店員さんもなんも言わないし!それよりもこのスイーツとっても美味しいのよ〜」

するとその次の瞬間だった。

ガシャーン!!

「きゃあああっ!!何っ!?」

レストランのガラス張りの壁が割られ、突如大きなドラゴンが入ってきたのだ。

「なっ…ドラゴン!?そんな、この街にドラゴンが降りて来るなんて…!!」

「みんな、逃げろ!!」

一目散に逃げ出す客とウエイター達。ノインズ達は、逃げ遅れてしまった。

「サイカ!!しっかりして、ほら立つのよ!」

「ああ、足が…だ、だめ…!」

「グォオオオオオオオ!!!」

ドラゴンのブレスが彼女達を襲う。

「きゃぁあああああああ!!」

「……ハイウェーブ!!」

ノインズの手から荒波が巻き起こり灼熱のブレスをかき消す。

「ノインズ君!!」

「ここは俺が止める!!お前達は逃げろ!!」

「で、でもあなたが
「いいから行け!!」

「くっ…ノインズ君……任せたわよ!!」

そう言いシズカ達は逃げていった。

「ドラゴンか…面白い。どれほどのモンスターなのか…試させてもらうぞ!!」




その後ドラゴンに一つ傷を負わせたノインズであったが、途中でドラゴンに大きく傷を負わされ、
後から合流した魔法騎士団の隊長達によりドラゴンは討伐された。

「ノインズ君!!大丈夫!?」

「……ちっ。なんだ?カッコつけといてぼろほろにやられた俺を笑いにきたかよ」

「そんなわけないでしょうが。大体一人でドラゴンを足止めできた事自体凄いことなのよ」

「あの…!あの時のノインズさん、とってもカッコよかったです…!」

「……そ、そうか」

「あれ〜?なーにちょっと照れちゃってんのよ」

「照れてねえよッ!!」

「あははは!!ね、怪我が治ったら3人で遊びにいきましょう」

「あぁ?…俺がいたら邪魔になんねえか?」

「いいのよ。だってサイカ、あの時あなたに惚…
「わーーーっ!!」

「…おい、ここ一応病院だぞ…」


そこからシズカのお膳立てにより、ノインズは度々サイカと会うことになった。

そして七年程経った頃。お互い恋に落ちた二人は結婚する事となった…。


「…おめでとう!!貴方達とってもお似合いよ!」

「ああ…ありがとう。なんか、照れるな」

「奥さん泣かしたら承知しないわよ?部隊長さん?」

この数年でノインズは魔法騎士団のD班の部隊長まで上り詰めていたのだ。

「…言われなくてもわーってるわ」

「サイカも、辛かったらいつでも相談してね?」

「ええ、本当にありがとうシズカ。貴方のおかげで…私たち、結ばれたの」

「…結ばれたって改まっていうな。…照れるだろうが」

「あー!こーら、何結婚式で堂々といちゃついてんのよこのこの〜!」

「う、うるせえ!」

そして、それから三年。二人の間に一人の男の子が生まれた。
その子供は、ジーノと名付けられ大切に育てられた。


「ジーノ、お出かけしよっか。この時期は山に美味しいきのみがなるの」

「きのい?」

「ふふ、きのいじゃなくてきのみ。ほら、抱っこしてあげるからきて。」

……ジーノが生まれて数年経ったある日のこと。サイカはジーノを連れて街の外へ向かった。
山に美味しいきのみが成る時期で、ジーノに食べさせてあげようと出かけたのであった。


「…嘘!?なんでこんなところにま、魔物が…!?」

…しかし、不幸な事に彼女は凶暴な魔物に襲われてしまうのであった。
普段はその道には魔物もでず安全な道だったが…。

「い、嫌っ!!助けてあなたっ…!!」

「きゃああああああああ!!」

「……ジ…ジーノ、だけは…私が、守らないと……」

魔物に怪我を負わされた彼女は息子だけは守ろうと力を振り絞って子供の盾となった。
…そして、人に発見された頃には無惨に殺された死体と泣き叫ぶ子供が一人横たわっていた…。

亡き妻の有り様を見たノインズは絶望した。

「うわぁあああああああああああああッ!!!」

「…何が、部隊長だ。何が、魔法騎士団だ…!!妻も守れないなんて…!!失格だッ!!」

「くそっ!!くそったれがぁッ!!」

「ちょっと、ノインズ君!!自分をそんなに責めないで!!」

「黙れ!!!!サイカは…自分の身を挺してジーノを守った…それに引き換え俺はなんだ?こいつが俺に助けを求めていた間俺は…呑気に資料に目を通して偉そうにふんぞり返って…これのどこが騎士だ!!」

「ノ、ノインズ君…」

それからノインズは魔法騎士団を辞めた。そして職を失ったノインズは宿に籠るようになった。

「ちょっと、ノインズ君!!出てきなさいよ!」

「うるせえ…あっち行ってくれ」

「貴方がそんなんで、天国にいるサイカはどう思うかしら!?」

「お前に…なにがわかるんだ!!」

「わかるわよ!!ずーっとサイカとは親友だったし、あんた達夫婦とも十年以上付き合ってきたんだから!!」

「それにジーノくんの事いつまでも私に任せっぱなしにしないで!!このままじゃ父親の顔を忘れちゃうわよ?」

「……ねぇ。あの時貴方がサイカを助けられなかったのは仕方がなかった。あの子は運悪く、はぐれた魔物に襲われて…あなたは自分の仕事をしていただけ。誰も悪くないの」

「黙れ!!…その励ましはもう聞き飽きた!!」

「だったら立ち上がりなさいよ!昔のあなたはどんな事があっても動じない、もっと自信たっぷりだった!!ねえ、今前に一歩踏み出さなかったら…この先、ジーノくんを悲しませることになるわよ!!それでいいの!!」

「ぐっ……ぐぅ…ううぅ…」

「…………」

「ぐ……すまねえ…くそっ…涙が、止まらねえ。…くそっ」

「…いい、存分に泣けばいいのよ。だから…その悲しみをバネにして、また…昔のようなあなたを見せて」

「……ああ……」

…サイカの次に、一番親しかったシズカの決死の説得により
ノインズは自分を取り戻し、徐々に…自信と元気を取り戻した。

しかし、彼はもう…魔法騎士団には戻る気はないようだった。
そして今後、息子を養っていく為に彼は…自分の故郷へ帰ることを決意した。
その時、シズカも彼に付いてきた。
自分の友人の旦那。そして、騎士団の長い付き合いだからだった。

「……お前には本当に世話になった。…だが、本当によかったのか?」

「ええ。ほっとけないわよ…サイカのいないあんたとジーノ君。それに料理できないし、困るでしょ?」

「…だが、魔法騎士団を辞めてまでくることはなかったんじゃないか」

「いいの!全く、他人をそんな気にかけるなんてあんたらしくないわよ?」

「……うるせぇ」

「…おっ。……来たか。」

「あぁ…、お前の船に乗るのは久々だな…ウミナリ」

そこにいたのはウミナリだった。十年前は見習いの船乗りだったが今はこうして立派な船乗りとなっている。
ちなみにここ数年何回か会う機会はあったが、あの事件があってから会うのは初めてだった。

「おう。…もう大丈夫なのか?」

「ああ!大丈夫だ。…これからは俺が頑張らねえとな」

「そうか、元気そうで安心した。じゃあ船に乗りな。すぐ出港するぜ」

そして、彼は故郷であるノイエット村へ帰ってきた…。
戻ってきた時、当時の村長は病床ついていたという。このままノイエットが戻ってこなければ…
村長不在になり、村が混乱に見舞われる事態となっていたという。
それと知ると同時にノインズは自分の若気の愚かさを、反省した。

ノインズは村長の座を継ぎ、ノイエット村の村長となった。
村の慣わしや伝統など…残り少ない時間を使い、前村長である父から
伝えるだけ伝えられ、父はこの世をさった。

それからというもの、彼は村長の仕事を全うした。
そして、息子ジーノはいざという時に身を守れるよう、
徹底的に鍛え、そして次期村長として厳しく育てた。

しかしその一方ノインズは…人一倍魔物の様子に気を配るようになってしまっていた。
それは村にまで影響を与える事となる。

魔王が力を発動させて魔物が活性化した時。彼は妻を失った時のことを思い出す。
村民が村の外へ行き、もし狼たちに殺されてしまったら。

…そんな光景は二度と見たくない。だから…彼は息子と共に三日三晩かけ、村にバリケードを作った。

そして、村から誰も出ないように…村を全て閉鎖をしたのであった。


……それから数日後。彼の元に一通の電話がかかる。

「……もしもし?珍しいな。お前が電話をかけてくるとは」

「ああ、ノインズさんだべか…?実は近頃、そちらに二人の子供が来るんだべ。迎え入れてやってはくれねえか…?」

「何!?この森にガキが来るってのか?止めろ。みすみす見殺しにしちまうぜ」

「いいや、その子供達なんだがな…この村を救ってくれたんだべ。実はこの村な、ムチンに襲われて…」

「…………というわけなんだべ。」

「ほー。ボスムチンを倒したのか…ってかなぁ!もし負けてたらどうすんだよ。命に関わるだろうが」

「へへ…あの子達ならやれると確信してたんだべさ。オラの予感は外れないんだべ」

「チッ…付き合ってられねえぞ。でも…いくら実力があったってその頼みは聞けねえな。うちは今閉鎖してんだ」

「閉鎖?どうしてだ」

「魔物が活性化したから危険だろうが。村は誰も出入りを許してねえ」

「……入るぐらい許してやってやれだ。魔物から逃げてきた人を見捨てるっていうんだか?」

「そんなんじゃねえよ。一応、そんな非常事態があったら流石に助けはする。閉鎖してんのはな…今迂闊に人を入れねえほうがいい気がするだけだ」

「…というと?」

「森で変な事起きてんだよ。シズマリの森が騒がしくなって、ザワメキの森が静かになってんだ」

「そいつぁ変だべなぁ。狼達の生存区域が…入れ替わっちまったんかな?」

「原因はジーノに調べさせてる。それが…人為的なものだという可能性がある。昔生き物を転移させる魔法を使えるやつとあったことがあんだ」

「そうか…変な魔術師が村に襲ってくる可能性を考慮してるってわけか」

「…ああ」

「相変わらずその態度に似合わず慎重だべなぁ…。だが…きっと、この二人ならそれも解決してくれる気がするだべ」

「…やけに信用してんじゃねえか」

「なあに、これも…オラの予感だべ」

「チッ…まあいいだろう。あんたの予感はよく当たるからな」

「…で?そいつらを迎え入れてどうすんだ?」

「家に泊めてやってはくれぬか?」

「はぁ?馬鹿言うんじゃねえ、うちは宿屋じゃねえんだぞ」

「‥では、宿屋に泊めてやってくれ」

「宿屋?…まああいつんとこならいいか。…ちなみにそいつらは元々何しにうちへ来る予定なんだよ」

「あの子達は… マザーフンギを倒しに行くんだべ」

「マザーフンギ…ああ、ムチンの森のか」

「それで魔物が活性化してる中野宿は危険だから、村に泊めてやってほしいってわけだ」

「……仕方ねえな。村に入れてやる。だが気に入らなかったらすぐ追い返してやる。いいな?」

「ああ、問題ないべ。あの子達、とてもいい子達だかんな。お前さんも気にいるはずだべ」

「…ふん。じゃあな」

ガチャ

「……やれやれ。ガキの相手はあんま得意じゃない…すぐ文句垂れるしな」


しかしその後やってきた二人は。言うまでもなく出来た子供達だった。
やけに礼儀正しくて、自分たちのやるべき事をやり遂げる覚悟が決まっていて。

だが、ノインズはジーノと同じく厳しく二人を迎えた。
彼は素直じゃない。本当は誰よりも心配なのに、それを表に出さず
突き放すかのような態度を取り、異変調査へ繰り出させる。

しかしそれでも、狼達との戦いに慣れているジーノを付き添いさせたり
そのジーノにも、危険が迫った時すぐに連絡するよう合図を送れる通信機を持たせていた。

実際、スレプトホーンと出会した時。ジーノはこっそり念の為通信機を使いノインズに合図を送った。
その瞬間、超速で3人の元へ向かったが辿り着く頃にはスレプトホーンとの戦闘は終わっており
それを遠目で眺め、無駄足だったと思いつつ先に村へ帰っていたという。

そして帰ってきた3人からワープホールの存在を伝えられ、彼は懸念していた魔術師の存在をさらに問題視することとなる…。

(……このままこの子達に調査させたら…。恐ろしい魔術師に襲われてしまうかもしれぬ…!!)

そう思ったノインズは

(この村から…しばらく出入りを禁ずるしかない!!危険かどうかわかるまでは…絶対にワシの目の届かぬ場所に行かさんぞ)

二人を村に、軟禁した。

しかし皮肉にも。その二人を思いやってこその行動は…裏目に出た。
言い方が、厳しすぎた。更にすぐに自分の考えも言わず、村に軟禁することだけを伝えたからだ。

翌日、彼がジーノと森に調査に出かけた時。
ワープホールは移されていた。

そのワープホールを潜った先にいたのは…魔族に捕まっていた二人だった。

彼はまた、後悔した。

危うく、また助けられない所だった。自分のいない所で、誰かが助けられずに死ぬのは二度とごめんだった。

魔族は二人を付け狙ってるようだった。彼は…自分の命をかけ、魔族に立ちはだかった。
一見するとあまり強くなさそうだが、魔法騎士団だった彼には…その強さが計り知れないと言うのがわかった。

結局、戦わずに魔族は去っていく。…彼は少しほっと息をつき、村へ帰る。二人に、言いたいことがたくさんあったからだ。

村に帰るなり、ノインズへの愚痴が聞こえた。それに反応してやると反射的に子供達は謝った。
…当然、愚痴られるほど厳しくしてしまった。今回のことも厳しすぎたせい、自分の言葉が足りなかった
せいで起こった事だ。…自分のせいで、また守ろうとしたものが、守れない所だった。

彼は二人を抱き寄せて謝罪の言葉を送った。心からの謝罪を。二人も彼に勝手に飛び出したことを謝ったが
それよりも無事だったことに彼は安心していた。

それから、少しして。彼は二人と息子の話し声を聞いた。
話の内容はさっきノインズが二人を抱きかかえたのが珍しいという内容だった。

そしてはっとした。彼は息子を…物心ついた頃から抱いてやったことがないと。
だから、思いっきり抱き締めてやった。今年でもう18になるが、二人が見ているが。

今回の事で…。自分は厳しすぎたとノインズは反省した。
それと同時に…もう少し、自分の気持ちを表面に。
相手に少しでも伝わるように…なろうと、誓った。

…もっとも、ジーノには、彼の不器用な愛は全て伝わっていたが。

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