息抜き落書き - 【SS】エピソード0
とりあえず書いてみました、みんつくに居ない新しいキャラが出てくるから間違いなく困惑すると思うし、まず文章がクソ以下なので見ていられなくなったら即ブラバして、どうぞ

2023/05/04追記 一年半ぶりの更新。ちょっとだけ修正を加えました。

Vol1.VSチートボス

〜とある謎の空間〜
少年「くっ、強過ぎる・・・この剣の数々も、僕がこれまでの冒険で培った剣技も通じないとは・・・!」

僕はゲン、剣が大好きで、あらゆる剣を使って戦う冒険者さ。今は腕試し・・・兼ある人物を助けるために強敵(=ボス)に挑んでいる所だ。さて、今交戦しているこの闇の女剣士だが、これまで倒してきた強敵とは段違いに強い。どの剣を使っても、そう、僕のお気に入りの聖剣、ユグドラシルソードでさえも簡単に左手に持つ刀で受け止めてしまう。おまけに身体能力もなんかおかしい。

ゲン「くそ、闇属性っぽいからこの聖剣なら対抗できると思ってたのに・・・!」

闇の剣士「そんなもの、ただの『見てくれが神聖な剣』に過ぎん!この腕力、見くびっては困る・・!」

薙ぎ払い攻撃を試みるも、なんと女剣士は空いている右腕で剣を持った僕の右腕の肘を掴む。その瞬間、腕にとてつもない痛みが走った。

ゲン「あがががががが!離せ、離せよ!(なんて物凄い怪力だ、骨折れてないよな…?)」
必死に振りほどこうとするが、彼女の手はテコでも動かずほぼ意味がなかった。

闇の剣士「この領域に侵入したものは決して無傷では戻れない。もう諦めるんだ・・・なっ」

そう吐き捨てると今度は僕の身体を勢いよく上方向へと投げ飛ばした。乱暴に投げられた僕の身体は高く宙に舞い、そのまま落下し地面に叩き付けられた。落下の衝撃による痛みで身動きが取れないまま、僕はつぶやく。
「一体どうすりゃ勝てるんだ?僕のレベルで無理なら死ぬしかないじゃないか・・・」

倒れ込む僕を前に、女剣士は突然高く飛び上がった。すると両手で刀を持ちながら、刃を僕の身体に向けつつ降下してきた!

闇の剣士「この暗闇の中で朽ち果てるが良い!」

ゲン「(マズいマズいマズい!!!これを食らったら絶対死ぬ!ほんとに有効な武器は無いのかよ!?)」

「(・・・あっ)」僕の頭の中にある剣が思い浮かんだ。そして僕はその剣を取り出した。それは・・・



ゲン「ドラグーンブレイドだ!」

そう叫びつつ、一つの武器を取り出しながら相手の刺突を身体を転がし回避。そして何とか立ち上がり、チェーンソーブレードを構えた。

闇の剣士「何!?」

ゲン「強大なドラゴンの魂がこもった最強の剣さ!こいつで決める!(ユグドラシルソード一辺倒で存在忘れかけてたけど)」

持ち手についているトリガーを押し、チェーンソーを起動。青い炎のようなオーラを纏いつつ刃が高速で回転し始めた。

闇の剣士「ふん。またお前の腕を掴み取って食い止めるだけだ。今度こそ串刺しにしてやろう!」

彼女は結構焦っている様子だが、腕さえ封じてしまえば無力化出来ると思っているらしく、余裕の表情を見せている。

僕は回転する刃を向けてダッシュし、闇の剣士へ斬りかかった。距離を詰めたところで、相手は咄嗟に刀で防いだ。


が。

ビキビキビキッ・・・ガシャァァァァン!

なんと、回る刃が直撃した細く黒い刀身は破壊音とともに粉々に砕け散った!その瞬間、僕の心には爽快感が湧き上がり、女剣士は非常に驚愕した。

闇の剣士「な、何故だ・・・」

今も呆気にとられている。僕の持つどんなに強い剣を無力化してきた強固な刀がいとも簡単に砕け散ったのだから無理もない。

ゲン「よっしゃあ、弱体化!あとは本体をなんとかしないとだな・・・」

武器を破壊して剣士が剣士でなくなったが、問題はまだ残っている。そう、あの馬鹿力だ。刀なんか無くても十分戦えるだろ、と言いたいくらいのパワーだ。(腕を掴まれた時の鉄アレイで挟まれたような痛みはもう忘れられないし、今でもわずかに痛む。)

闇の剣士「武器を破壊した程度で弱体化とは愚劣な事を言う、ならば腕力で捻り潰すのみ!」

折れた刀の柄を放り投げながら苛立ちを込めた声でそう言った。案の定、敵は肉弾戦を仕掛けるつもりだ。ならこっちの対応は当然決まっている。
ゲン「愚劣かどうか今僕が見せてやる、来るなら来い!」

そう挑発すると女剣士は僕の元へ走り殴りかかって来た。すかさず僕は、拳が身体に直撃するよりも前に、彼女の左腰にユグドラシルソードで峰打ちを当てた!

ゲン「お前がコケにした神聖な剣の威力、思い知ったか!(やっぱトドメはこの剣でなくちゃ!)」

闇の剣士「ぐっ・・あぁ・・・!何故、何故痛み・・が・・」

ゲン「勝った・・・のか!?」

その表情はいかにも激痛に苛まれている様子だった。長い戦いでパワーを完全に消耗しきってしまったのだ。それにも気付かず、自分の怪力に驕ってゴリ押ししようとした結果だった。

女剣士はそのまま黒い霧となって消滅した。戦い始めてからどれくらいの時間が経ったのかは分からないが、とにかく長い戦いだったのだ。

ゲン「やったー、ボス撃破!さて報酬はっと・・・」

女剣士が消えた場所に近づいてみると、なんとあの黒い刀がぽつんと地面に突き刺さっていた。

ゲン「ん?あれって僕が粉々にしたあの刀じゃないか?何で復活したかは分からないけどこれが撃破報酬みたいだし、貰いっと!」

早速刀を引き抜き、装備してみた。見た目通りの禍々しい闘気が、身体にも伝わってくる。しかし特に身体の異常は見られなかった。

ゲン「呪われたりしてなくて良かったぜ。とにかくこれでまた魔法剣士に一歩近づけたかな」

魔法剣士とは魔法と剣技を同時に操る戦士のことで、僕が一番憧れてる職業だ。魔法のチカラが合わされば剣も一段と強力になるだろうし、何よりカッコイイ。

しばらく余韻に浸っていると僕の視界がまばゆい光で覆われ、光が消えるとあの紫と黒が入り混じった空間ではなかった。元の世界へ戻ったようだ。

ゲン「あ、ここは・・・」

ここはとある家の地下室。辺りを見回すと、僕が入っていったあの叩き割られた手鏡のような暗黒空間に繋がる空間の裂け目が消えていた。そこへ3Dメガネをかけて立派なヒゲを蓄えた老人が階段を降りて来た。

老人「おお・・戻って来おったか」

Vol2.悪夢の消滅

とてつもなく強力なボスを撃破したあと、僕はとある家の地下室にいた。そこに変わった格好の老人が現れた。

老人「おっはよー!!!」

老人は僕と目が合うなり大声を出して飛びついてきた。

ゲン「ニワトコ師匠!?ちょっと、びっくりしたじゃないですか!(心の準備が・・・)それに今は昼頃のようですが」

ニワトコ「おぉそうじゃった、まぁとにかく死なずに戻って来てくれてよかったぞい」

ゲン「えぇ・・どうも」

このお爺さんはニワトコ、僕に剣術の手ほどきをしてくれた師匠だ。普段はボケ全開でどこかズレてるし、女好きで暇なときはグラビアを眺めてニヤニヤしてるスケベなとこもあるけど、実は世界に名を馳せた大剣豪で、剣の腕じゃ師匠の右に出る者はいない。

それに稽古のときは常に着用してる3Dメガネを外して、いつものひょうきんな性格が一転、とっても厳格になる。稽古はまさに修羅場と言うべき時間だった。(「本気モード」とでも言っておこう。)それと穏やかだった時間が長かった分、それに比例して本気モードになった時の修業の激しさも増す。特に1ヶ月していなかった修業を再開する時には地獄絵図となった。
そんな師匠だが、現在は辺境の地で道場兼自宅を構えのんびり暮らしている。

ニワトコ「・・・これでやっと良き睡眠がとれるのぅ、本当に感謝しておるぞ。して、あの悪夢の正体は一体何だったんじゃ」

師匠はそう尋ねると、地下室の階段を上ってお茶の間へ案内し向かい合うように椅子に座った。師匠は酒を、僕はジュースを飲みながら話をすることにした。

ゲン「この地下室に黒い空間の裂け目のようなものがありまして」

ニワトコ「ほう」

ゲン「それが原因だと見た僕はその裂け目に突っ込んだところ、一人の女剣士がいました。そいつが原因だったのでしょう」

ニワトコ「なぬ、女剣士とな!?どんな見た目だったんじゃ!?」

僕が説明すると、あからさまに下心を含んだ眼差しでこちらを見て来た。

ゲン「桃色の髪、黒く濁った緑色の瞳、暗いピンクとか紫の装束に半分ボロボロのケープを身に着けていて、左手には刀を装備していました。」
「・・・でも師匠の想像してるような女性とは程遠く、話し方は威圧的だし、殺意剥き出しで途方もない身体能力を振るう超難敵でしたよ」

さっきまで興奮気味だった師匠は、僕から告げられた現実を知るや驚きと落胆がこもった顔でこう言った。

ニワトコ「ふぁああ!?なんと末恐ろしい女なんじゃ・・・出会わなくて良かったわい」

(まぁその通りだな、もし自分で行ってたら惚れて油断した隙を突かれて瞬殺されてただろ)

ニワトコ「な、なんじゃその顔は!別にやましい心など無かったぞ!」

ゲン「ん、いや別にそんな・・・」

ニワトコ「で、その暗い色の刀はどうしたんじゃ。その女からぶん取って来たのか?」

ゲン「いや、奪ったのではなく倒れたあとに残っていたものです」

ニワトコ「そうじゃったか。その刀、鞘が無いようじゃが?刃を隠さず刀を持ち歩くのは危険ぞい」

ゲン「実はこの刀はヤツがケープの中から取り出していたものなんです・・・ケープの内側は別の次元へつながっているという代物で、僕をその中に引きずり込んで閉じ込めようともしましたよ(あの時の足掻きで体力を結構消耗しちゃったんだよな。)」

ゲン「それに、他の剣もほぼ鞘なしで持ち歩いてるから心配はいりません」

ニワトコ「それもそうか。にしてもその女剣士、話を聞けば聞く程謎が深まるのう・・・」

突然だが、何故僕はあのチートボスに挑むことになったのか。それを説明しておこう。

師匠は一週間ほど前に毎晩悪夢に襲われ不眠症に悩まされていたらしい。そこで手紙を送って放浪していた僕を呼びつけ、原因を調べてくれと頼んだ。

最初こそ僕も巻き込まれて悪夢を見せられるんじゃないか、と思って躊躇したが老体に不眠症って結構ヤバいんじゃね、と思ったし師匠の身体に何かあっては困るので引き受けた、という訳さ。

ニワトコ「とにかくこれで一件落着、じゃな。あのような強敵を打ち破るとはやっぱりお前は自慢の弟子じゃ」

ゲン「あ、ありがとうございます」

照れつつ頭を下げながらつぶやいた。

ニワトコ「それで、この後はどうするんじゃ?もし良ければうちに泊まっていかんかの?2段ベッドで寝心地抜群の門下生用の寝室が空いとるし、テレビもゲーム機もあるぞい」

いつもの決まり文句だ。僕が帰ろうとする頃には決まって泊まっていくように言ってくる。この道場は大きくて設備も多人数用に充実させてあるが弟子が僕以外にいないので実質宝の持ち腐れである。テレビは電波が弱く全く映らない、ゲームはできるがゲーム機にダウンロードされているゲームは師匠好みのHモノが大半を占めているという有り様だ。はっきり言ってここに弟子入りする人はいろんな意味で苦労させられると思う。

ゲン「まだまだやりたいことがあるんで、また旅に出ようと思います。それと泊まる場所なら近くの町の宿屋に決めてるので大丈夫ですよ」(ベッドの下に大量のグラビアを隠してたのは見逃してないぞ!)

ニワトコ「もう悪夢は来ないというのに・・・そうか、では道中気をつけてな。混乱状態で村人を剣の錆にするでないぞ」

ゲン「それは心配し過ぎですよ師匠、混乱対策のアクセサリー装備すりゃいいんでしょ?(・・・あっ、どこかで売却しちゃったなそういや)」

そう談笑したあと、僕は荷物を纏めて道場を後にした。

ニワトコ「ではまたな!新たな剣技を開発したら是非伝授してやるぞーい!」

大きな声で別れを告げる師匠に手を振りながら道を歩む。次はどんな技を教えて貰えるんだろう、とか、またあのスパルタ稽古をやらなければならないのか、とかそういう考え事をしながら歩いていた。道場が見えなくなり、もうじき町につくという所まで進んだ。

・・・その時、僕の視線の先に何か巨大で、邪悪な雰囲気を醸し出す人影が見えた。

ゲン「あ・・あれは、もしかして・・・!!」

Vol3.非道たる魔王、そして絶望へ

大切な師を危機から救い、戦い疲れた僕は身体を休める場を求めて町へ向かおうとしているところだ。その時、いかにもな悪といった風貌の、大きな人影を目の当たりにした。同時に、その巨体から影の正体は絶対に「人」と呼べるものでは無いと確信した。

(もしかして・・・魔王!?そうだよな、あのビジュアルは確実に魔王だ!まさか魔王が活動しているなんて・・・!)

ネットとかで魔王復活の噂は度々耳にしたけど本当にいるなんて想像もしていなかった。
しかし普通魔王ってのはヤツの居城が決戦の舞台となる筈だ。強めの雑魚モンスターを蹴散らして、護衛とか幹部みたいなポジションの中ボスを倒して、その過程を突破した先のダンジョンの最奥部で待ち構えてるのがお約束ってもんだが、まさかこんなのどかで静かな平原で繰り広げられようとは誰が想像できるだろう。

???「クックック・・・待ち詫びていたぞ、旅人よ・・・」

ヤツは遠くから語りかけてきた。

ゲン「なっ、お前は魔王なのか!?」

???「左様、我は魔王アムガン。貴様の力を貰いに来た」

ゲン「アム…ガン?名前は耳にした事がないけど…やっぱり魔王か!」

そういうと邪悪な笑みを浮かべながら僕の方に歩み寄ってきた。炎の髪と赤色の肌を持つ大悪魔が近づくと、温かい空気が僕を包み込んだ。どうやら炎の力を司っているらしい。

ゲン「何訳の分からない事言ってんだお前!とにかく・・・この先の町には近づかせないぞ!そして世界征服は僕が食い止める!」

アムガン「如何にも。世界征服こそが我が野望・・・だがそれはまだ遠い先の話よ、そのためには貴様のその長い旅の経験と若いパワーが必要なのだ」

ゲン「じゃあ、こっちはその長い旅の経験と若いパワーでお前を倒すまでだ!(僕も長い間色んなとこ歩き回って、数々の強敵を倒してきたんだ、魔王くらい倒せないことはないだろ!)」

そう啖呵を切るとすぐにユグドラシルソードを構え、戦闘態勢に入った。この世界の命運を賭けた決戦が始まる・・・!

アムガン「フッ、まだ我の言う事が理解しかねるか、ならば・・・」

ゲン「ならばどうした、それ理解する前に首を取ってやるぜ!でやああああ!」

翡翠色の聖剣で斬りかかると魔王は僕へ手を伸ばし・・・

アムガン「力 ず く で そ の 意 味 を 教 え る ま で だ !」

ゲン「うぐぅぅぅ?!!!しまった、油断した…」

魔王は本性を現した。物凄い音を立てると同時に腕にオーラを纏い、何らかの力でこちらの動きを拘束した。流石は魔王、こんな物凄い技で初っ端から苦しめてくれる。あの女剣士にも匹敵するレベルのパワーだろう。剣を持ったまま海老反りになりながら苦しんだ。

アムガン「魔王たる我を侮っていたようだな…まあ安心しろ、命までは奪わん。地獄の業火で焼け苦しまないだけ感謝するが良い」

ゲン「ーーーっ!か、身体の…力が…抜け…あっ」

全身の力が抜けた僕は手から剣を落としてしまった。その時点でもはや勝利する未来は見えなくなった。

アムガン「我の欲するは貴様の首でも臓物でもない…貴様の強大なパワーだけよ…フハハハハハ!!世界を支配する前に取るべきものを取っておかねばなぁ!」

高らかな笑いとともにさらに強く締めつけてきた。勝つことは出来なくとも何とかこの縛りから脱出して体勢を立て直したい。そんな思いすら叶わず僕は意識を失った。同時に縛りを解かれた身体は無様にも地面へ倒れ込んだ。

アムガン「もうくたばったか…幾年冒険を続けて来た冒険者とて所詮はこんなもの、目が覚めたらまずは身の程を知るということを覚えておくのだな若造…」



「これで我の生命を脅かす存在がひとつ消え…そして我が野望に一歩近づけたのだ!神をも超越する絶大な力とこの若造の膨大な旅の賜物、この二つの力を同時に宿すのはさぞ気分が良い…では根城へ帰るとしよう」



魔王との戦いで早々に相手に翻弄され意識を失った僕は、ようやく目が覚めた。だが、そこはあのだだっ広い草原ではなく、魔王の姿も無い。僕の家だった。目を見開くと木の壁にベッド、PCがある僕の部屋が視界を満たす。

ゲン「ここは・・・僕の家?ああそっか、さっきの戦いで僕は死んだんだ。それで復活地点へ戻ってきた・・・と」

特に戸惑うこともなく、すぐさま立ち上がった。
しかし、ここで結論を出すにはあまりにも早過ぎたと知る事になる。今度はしっかりと装備を見直し、作戦を立てて戦いに挑もうと、所持品の確認をしたところ・・

ゲン「え、あれ、回復アイテムは…?それと武器も見当たらないぞ?」

大量にあったはずの持ち物が見当たらないのだ。道具袋はいつもゴチャゴチャしてる(とはいえ使いたいアイテムはすぐ目に入る)ものなのに。それに心なしか身体もなまっているように感じるし、戦闘スキルも記憶から抜けているような気がする。
そもそも、最後に自宅で休憩(=セーブ)した覚えは無い。明らかに何かがおかしい!

ゲン「あんなにたっぷり入ってたアイテムとか武器を一体どこで失くしたんだよ?・・・そうだ!技は頭に無くても身体は覚えているはずだ、この木の棒で・・・」

木の棒を右手に持って、裏口のドアから訓練に使っている庭に飛び出した。そこで色んな特技を放とうとしたが、全く発動出来ない。そもそも出し方すら思い出せない。何度も試しているうちに疲れたので家の中に戻り、しばらく考え込んだ。

ゲン「突然持ち物が消えて、僕自身も弱体化・・・?まさか魔王の言ってたお前のパワーが必要だって言葉、まさか・・・そんな!」

考え込んでいるうちに、じわじわと魔王の発言が脳内に呼び起こされる。その意味を理解するたび、現実を受け入れられずに焦る気持ちも強くなる。

ゲン「そんな・・・まさか!僕の冒険で得たものはみんなあいつに消されたのか!?嘘だ!そんなの嘘だ!」

そうだ。これは夢、それか幻覚だ。魔王が僕に対して精神攻撃を仕掛けているんだ。そう思いたいがために、自分の頬をひたすら叩いた。頬は赤くなりヒリヒリしていたが、あきらめの悪い僕は今度は壁に身体を叩き付け始めた。

ゲン「ハァ・・・ハァ・・・夢なんだったら覚めてくれよ!!!3年間もの努力の結晶だったんだぞ!!裏ボスも倒したばかりなのに!!!頼むから夢であってくれーーーっ!!!」

大声で叫びながら家の外から聞こえるくらいの音を立てた。完全に近所迷惑なんだが、そんな事も考えられないくらい僕の気持ちは落ち着きを完全に失っていた。長年積み上げてきたものを、突然の出来事で全て崩されたのだから無理もない。

暴れ疲れたうえ自棄になった僕はベッドに乱暴に転がり、横たわった。ちょっと激しく体を動かしただけでこんなに息苦しくなって疲労感が溜まるなんて。これこそが弱体化した証拠だ。その事実で全てを受け入れた僕は、泣き崩れながら眠りについた。

慢心から装備も整えずに魔王という大敵に挑み、敗北した挙げ句敵に全てを奪われる。ここまで自分を情けないと思ったことはない。もはや悔しい気持ちを通り越して笑ってしまう程だ・・・

強い精神的ショックを受けた僕はその後、僕は2週間自宅から出ることはなかった。



〜魔王の居城〜

幹部A「お帰りなさいませ、魔王様」

アムガン「見よ、我は新たな力を取り込み完全体となった・・・そして我らの生命を脅かす者も潰えた」

幹部B「遠征ご苦労様でした。人間風情が魔王様を打ち倒そうなど到底無駄な事ですね、フフフ・・・」

幹部C「もう魔王様の邪魔を働ける者は誰もいません、これで世界征服にまた一歩近づいたのですね」

アムガン「フハハハ、侵略するのはまだ早計・・・この手中に収めた膨大なパワーをお前たちに分け与えねば」

幹部一同「魔王様!?何ゆえ折角手にしたパワーを!?」

アムガン「我はとうに神をも恐れる力を持っておる…持てる魔力にも限度があるゆえこのパワーと元々の魔力を同時には操れん、それにお前達幹部は我への忠誠心は高いが力の程は月並みの魔物と大差無いからな」

幹部一同「ありがたき待遇にございます、魔王様。下等な人間の力といえども・・・如何なる能力を秘めているのかが見ものですね」

アムガン「ハハハハ!!身体がみなぎるであろう!そのパワーを以て人間どもを滅ぼすのだ!」



「覚えておれよ、下界の愚民共・・・いずれ地上を焼き尽し、我の統治する魔界へと変えるのだ!完成した魔界を文字通り目に焼き付けてくれる!!!」

〜エピソード0 完〜










ニワトコ「物語はこれでおしまいではないぞい、もうちょっとだけ続くんじゃ・・・じゃなくてこれからが本当の物語じゃ〜っ!