俺の名前は今田龍司。
今田「桃さん、水は無いんですかぁ〜!?これじゃあ昭和の野球部!」
桃「根性があれば耐えられるでしょ?私のトレーニングメニューは体力と精神を同時に鍛えられるんだよ。死んだら水葬してあげるから頑張れ」
脱水症状で死にかけているペーペーの新入りだ。
まだ新入りの俺に詳しい内情は分からないが、クッパ軍は軍団としての側面の他に極道組織としての面も持っている様だ。だからシマ荒しの粛清やヤクの取り締まり、地上げ等もやっているらしい。
そんなある日、俺は入隊18年目である『ブロスの兄貴』に声を掛けられた。
ブロス「雑用には慣れて来たか?お前の事はお上でも話題になっているからな」
今田「はい、お陰様で慣れて来ました。そういえば兄貴は上級兵でしたよね?クッパ軍について知ってる事ってありますか?俺は新入りなモンで…」
ブロス「そうか、まだ話していなかったな。普通は雑用に話すモンじゃないが…良いだろう、特別に教えてやるよ」
今田「オッス、お願いしまっス!」
ブロス「クッパ軍団ってのは、オレ達が居るキノコ大陸の殆どを支配するカメ一族の大魔王クッパ様が統括する【クッパ帝国】の保有する軍団だ」
大魔王クッパ…噂程度の伝説だったがマジで存在していたのかよ…正直、話を聞くまで名を騙った集団と思っていた。
ブロス「クッパ軍団には階級がある事は知っているな?」
今田「まぁ、一応軍隊ですから存在していますよね。でも上の人に対して下の者が話していたりと随分、ラフそうな環境に思えますが」
ブロス「ウチらの軍は階級こそあれど身分差別は余りしないタイプだからな。これはクッパ様の性格による物だとは聞いている」
今田「成る程でございます。他の軍隊だったら今ごろ俺はブチ殺されてますね」
ブロス「まぁ普通はそうだな。だが、階級による待遇の差はある。全部教えてやるからしっかり頭に叩き込んでおけよ」
そうしてブロスの兄貴に階級を教えて貰った。纏めるとこうだ。
となる。
今田「そして俺がいるのは最も下である雑用…と」
ブロス「あぁそうだ。戦場での手柄以外にも様々な働きで昇格出来るチャンスは充分存在している。まずは雑用から抜け出せる様に頑張れ」
今田「もう一つ聞きますが、クッパ帝国って事は議会もあるのですか?」
ブロス「議会はない。クッパ様によるカメ一族の専制政治の体制を取っているからな。要するに独裁者って訳だ。だが、クッパ様は人道に逸れた事はしない性格であられる故、クッパ帝国領や植民地の住民から殆ど文句が出ていないそうだ。そう言った性格だからこそクッパ帝国は巨大な領地と植民地を持っているのだろう」
今田「凄い…スケールが他の魔王とは段違いですね…」
ブロス「そうだろ?しかも、クッパ様のファンクラブが存在しているんだ」
今田「マジすか!?こんなに部下から慕われる大魔王は始めて聞きましたよ。あのピトーさんや桃さんも例外じゃないって事か…」
ブロス「お前、十三仏に合ったのか!?」
今田「十三仏?何ですかそれ」
十三仏…始めて聞く名だ。何かの仏様か?
ブロス「馬鹿野郎!アイツらはクッパ軍団最強の集団だ!知らない方がおかしいぞ!」
今田「えぇ!?クッパ軍団最強!?それってどういう…クッパ七人衆や最高幹部よりもっスか!?」
ブロス「当たり前田のカレーよ!十三仏こそ、クッパ帝国の基盤を現在にまで押し上げたクッパ様の懐刀だ。当然、クッパ七人衆や最高幹部より上だが…異次元過ぎる故に“特別枠”として認定されている」
今田「特別枠…よく分かりませんが滅茶苦茶凄いって事は分かりましたっス」
ブロス「凄いなんてモンじゃねェよ、奴らとオレ達では住んでいる次元が違う。壊れている。クッパ軍団を志す者は数多くいれど目指す階級は最高幹部までだ、奴らは生物の枠組から外れた人外そのものだ」
この話を聞いた瞬間、当時の俺はどれだけ身の程知らずな存在かを思い知らされた。更に話を聞くと、一人一人が列強諸国に匹敵する戦闘能力の持ち主で未知数の実力と言われているらしい。
今田「(俺はあの時、とんでもない事しでかしたのかよ…殺されなくて良かった)その十三仏全員の名前って知っておられますか?」
ブロス「すまんがそれはまだお前らに教えられる事じゃねぇよ。今すぐ知りたいなら偶然、本人に出会うかしないと無理だろうな」
そう言われて教えては貰えなかったが、ピトーさんと桃さんがその十三仏に居る事だけははっきりと理解した。
そうしてブロスの兄貴は忙しそうに去っていった。
今田「クッパ軍団…俺もいつか最高幹部にまでなれるのか?」
そう思いながら俺は1人自分の部屋で寝た。明日の事は明日の自分に任せれば良いかな。