息抜き落書き - 【SS】浅瀬の夢

1:囚われの書斎


…ここは、どこだろう?

俺は闇の中を歩いているような感覚に見舞われた。

…視界が安定して来た。まず目に入ったのは木製の床。
随分と古い床で足のさじ加減でギシギシと音を立てている。

前を向くと、辺り一面に本棚が並んでいた。どうやら書斎か何かに
やって来たのだろうか。とりあえず出口を探そうと辺りを見回す。

…横と後ろはコンクリートで出来た壁だけでドアが見当たらない。
それどころか窓すらも無かった。

壁は分厚く、蹴ってもビクともしない。…どうやら閉じ込められているようだ。

そんな危機的な状況とは裏腹に呑気にも俺は本棚に入っている本を調べて
読み始めた。ゲームの本だ。名前は見たことのないものだったが
どこか懐かしく、ワクワクするゲームだった。

しばらく読んだ後、他の本も棚から出して読み始めた。
これは漫画だ。小学校の頃、学校に置いてあったものだった。
昔と変わらぬ作風に懐かしさをまた覚えた。

そうして本棚から本を取り出しているうちに、本棚の奥にも本がある事に気付いた。
取り出すとまた同じようなゲームや漫画本が出てくる。
そしてその奥にもまだ本は続いていた。

…ひょっとして、この本棚には底がないのかもしれない。
本棚から本を全て出せばこの先へ出られると思い付き、俺はひたすらに
本を取り出し始めた。

それから結構時間が経つが、一向に本は減らない。本はちゃんと取り出している
はずなのに次から次へと本が出て来る。無限に出てくる本に
俺は気が動転してしまった。

………そんな所で目が覚めた。

あの書斎は一体なんだったのだろう。
なぜ、あんなにも本が出てきたのだろう。
今となってはわからない…。

2:暗闇の屋敷


…また気がつくと見知らぬ所にいた。
ここはどうやら庭のようだ。
それも和風庭園。なかなかの広さだ。

そしてすぐそこには家の扉が見えた。
俺は惹かれるように扉をあけて人を訪ねた。

しばらくすると一人の女性が外へ出てきた。
容姿と服装ははっきり覚えていないが
なかなかの美形であろうと記憶している。

女性はこちらを向いて黙ったまま。
しばらくすると後ろを向いて戻っていった。

ついていったらいいのか迷っていると
また女性がこちらを振り向く。まるで付いて来いと
言わんばかりだった。

俺が女性の方へ歩き出すと、また女性は前を向いて歩き出す。
どうやら家に上がっても問題ないらしい。
扉を閉めて家に上がるが何かおかしい。
靴を脱ぐ所がないのだ。和風なのに土足OKなのだろうか?

取り敢えず女性についていく。屋敷の中は廊下の一本道が
続いている。その奥は暗くて見えない。
だが俺はなんの疑問も抱かずに歩んでいくのであった。