息抜き落書き - 閑話 少女の夢
わたしには、ゆめがある。

それはアクセサリー屋さんになること。

むかし、村にやってきたぎょうしょうにんのおじちゃんが、アクセサリーってものをくれた。

とってもきれいだったから、おじちゃんにたのんでつくりかたをおそわったの。

わたしは手先がきようらしく、すぐにつくり方をおぼえた。おじちゃんもよくほめてくれた。

「まるできみはアクセサリー職人さんだな。将来大きくなったら、うちの商品も作ってくれ」

しょくにんさんって、ものを作るおしごとのひとだって。

つまり、わたしはアクセサリーを作るおしごとのひとみたいだって。とってもうれしかった。

それからはよくひまなときはアクセサリーを作って、おじちゃんにみせたの。

でもママとパパはアクセサリーのこと、あんまりわからないみたい。

たまに、すごいのができた!と思うことがあって見せても、すごいねーって言うだけ。

いっつもおんなじへんじで、最初はうれしかったけど、とちゅうからは聞きあきちゃった。

そんなある日、おじちゃんがくるころになったからわたしはじしんさくをもっていった。

おじちゃんは来なかった。パパは、おじちゃんはこしがわるくなったからしばらくこれないみたいって言った。

わたしのアクセサリーをほめてくれるひとがいなくなってさびしかった。

それからわたしは、アクセサリーをつくるのをやめた。

ある日、おさんぽしてたらきれいな石がたくさん落ちてた。

あかい石にあおい石。…とてもきれいだったから、ひろった。

かえったとき、おうちの近くはなんだか見たことないものがたくさん落ちてた。ぷるぷるしてて、ちょっとさわってみたかった。

けど、そこにパパがやってきて急いでわたしをだきかかえて、おうちにいれられた。

パパとママはなぜかとってもしんぱいしてて、わたしをだきしめた。

そして、しばらくのあいだ、おうちから出ちゃいけないよっていわれたの。

つぎのひになってもでちゃダメだっていわれた。

ひまで、なにをしようかとおもったとき…きれいないしが目に映った。

わたしは、ひさしぶりにそれでアクセサリーを作ることにしたの。

次、おじちゃんが来たとき、あっとおどろくぐらいのものを作るんだ。

アクセサリーを作ってるときにママに聞いたの。なんで外にでちゃダメなの?って。

あのぷるぷるした見たことないの、まものなんだっておしえてくれた。

うかつ?に近づくときけんなんだって。この村に住んでる人じゃてにおえない数だって。

…どうしよう。もう、おそとにでられないのかな?

…きれいなブレスレットがふたつ、できた。そのあと、外がちょっとうるさくなった。

でちゃダメといわれてたけどつい気になって外に出てみたら、おねえちゃんとおにいちゃんがたたかってた。

おにいちゃんはけんをふって、おねえちゃんは火をだしててすごかった。あの、ぷるぷるしたのはなくなってた。

おねえちゃんたちのおかげでみんなよろこんでた。わたしも、お礼がしたいな、とおもった。

わたしにできるお礼はやっぱり、アクセサリーだから。いまから作ろうっておもったら

もうざいりょうがなかった。ブレスレットにぜんぶつかっちゃったんだ。

ちょうどブレスレットのかずはふたつ。おねえちゃんたちもふたり。これをわたせば…でも。

わたしはまよったけど、おねえちゃんたちにわたすことにした。

おにいちゃんにわたしたらとってもよろこんでつけてくれてうれしかった。

でも、ちょっとつけたあとにへんなかんじ。おねえちゃん…かえでおねえちゃんっていうの

かえでおねえちゃんもつけてくれた。すると、わたしにざいりょうはなにかってきいたの。

こたえると、あのきれいな石にはまりょくがつまってたみたいだって。

よくわからないけど、少しつよくなれたってよろこんでた。そして、こう言ってくれた。

「ありがとうね、小さなアクセサリー職人さん。」

__その日から私は、ずっとアクセサリーを作り続けている。

数日後、腰が治って村に来てくれたおじさんに、超大作のアクセサリーを見せたら驚いていた。

それからは目まぐるしい日々が続き、いつしか私は店を持つようになっていた。

おじさんは一番のお得意様だ。私の作ったアクセサリーは必ず売り切れるから、とたくさん買ってくれた。

わざわざ遠いところからやってきた人もいて、こんな小さい村より都会に出ないかと誘われたが断った。

さぁ、今日も店を開こう。お客さんが一人やってきた。__懐かしい、あの二人を思い出させる、不思議な子だった。__


おしまい