「…えー、それではこれより!第一回カラフルアイランド色消失事件対策会議を始めまーす!!みんな、拍手!!」
パチパチパチパチとまばらに拍手が飛び交い、優也と楓も合わせるように拍手をした。
(……なにこのノリ?)
(俺たちが集まって話し合いするとき、アミィはいつもこんな感じになるんだ)
(第一回って…二回目以降もあるのかしら?)
「それじゃあまず事件の概要から整理していこうかな。事の始まりは6日前。翠がグリーンフォレストで、日課の木の体調管理をしていた最中に真っ白な木を発見したのが始まりだったんだよね?」
「…………うん。最初は、何かの病気かと思ってすごく焦った…」
「幸いなことに木の病気ではなかった。周りの地面まで真っ白になっているのを見て、色が消失しているって事に気づいたんだよね。そしてそれはみるみるうちに広がっていった」
「翌日には更にグリーンフォレストの木々が、その翌日はレッドマウンテンにブルービーチ。…極め付けは昨日、まさにここ。翠の家からも…色が吸い取られてしまった」
「……このままじゃ……島の自然が……」
「そんな俯かないでよ翠!!それを防ぐためにアタシ達は集まったんだから。」
「それで…何か色消失を止める手がかりはないのか?」
「うーん…。色が消える瞬間を直接見た人は誰かいない?」
「……この中じゃ翠だけ」
「そうね…翠、辛いだろうけど…昨日の事、思い出せる?」
「……わかった、ちょっと思い出してみる……。……昨日の夜、私は部屋で本を読んでたの…しばらくしたら何か、嫌な気配が外からして、窓から外を見てみると…木や地面がどんどん侵食するように無色になっていったの…私、もうパニックになっちゃって…」
「そっか…それで、私に電話をかけてきたのね」
「…何か嫌な気配がしたって言ったよね、何がいたか確認できなかった?」
「……外を見た時は既にもう気配が消えてて、姿は確認できなかったです…ごめんなさい」
(というか、本を読んでたのによく外の気配に気づけたな…もしかして翠って案外強いのかも?)
「もしかしたらその何かが色を吸い取ったりしてるんじゃないかしら?」
「え?どうやってだよ楓」
「そりゃあ…やっぱり魔法でしょ。不可思議な現象は大体魔法よきっと」
「……うん、すごくいい加減に言ってるような気がするけど、実際魔法の他に考えられない…かな?」
「だがよ、そんな魔法あるのか?」
「えーっと…アタシは魔法に詳しくないから知らないなぁ。ねぇ咲希は?」
「…………聞いた事ない」
「咲希が聞いた事ないなら存在しないんじゃないか?」
「待って。……この世には、まだまだ知られていない魔法なんて山ほどある。ましてや私の知ってる知識なんて全然乏しいから……あまり鵜呑みにしないで」
「……わかったわ。それじゃあ魔法じゃないかどうかは一旦置いといて、何か対策をみんなで考えましょう」
「対策か。…魔法かどうかすら分からないもん、どうやって対策すればいいんだ?」
「俺は翠が感じた気配が怪しいと思うな。そいつを追うのはどうかな?」
「でもそれがどこに現れるかわからないよ?…なんなのかもわからないし」
「それだったら、色の消える現場に先回りすればいいんじゃない?」
「それだわ!これから色が消えそうな場所に行けば、しっぽを掴めるかもしれない!!」
「…それはいい案だな。で、次色が消えそうな場所は…どう予測するんだ?」
「えーっと、昨日色が消えたのはこのグリーンフォレストだから…レッドマウンテンとブルービーチ辺りかな?」
「……一応、まだ色消失の観測ができていない場所だとイエローデザートとかがある」
「うーん、どれに行ったらいいんだろう?」
「いっそ全部行っちゃえばいいんだよ、三手に分かれて調査するってのはどう?」
「……いいと思う。三つに分かれれば、きっと何か掴める…」
「よし、それじゃあ早速チーム分けしましょう」
六人は三手に分かれて調査をする事となった。
「えっとブルービーチは…前にダイロが確認しにいったわよね、だからダイロはそこで決定ね」
「おいおい勝手に決めんなよ!」
「翠はどこに行きたい?」
「……え?えーっと……植物が綺麗なところなら…」
「ちょっ無視すんな!」
15分ほど話し合いをして、次の通りに行き先が決まった。
優也
ダイロ
楓
翠
アミィ
咲希
「よーし、よろしくダイロ!!」
「あ、ああ。」(あ〜…翠と一緒に行きたかったぜ…)
「翠を任せたわよ、楓!」
「うん!翠、一緒に頑張るわよ!」
「えっ…あっ……はいっ私も頑張ります!」
「さて、咲希!あれを貸してちょうだい!!」
「……そうだった。これをみんなに…」
咲希はアミィに何かを手渡した。
「よし、ありがとう。みんな!何かあったら…これで連絡してちょうだい」
そう言ってアミィは手に持った…結晶を掲げる。
「……それは?」
「通信魔石よ。咲希が用意してくれた魔道具なの。相手から着信があると淡く光りだすから、そしたらこの石に自分の魔力を流しこむと応答することが出来るわ。逆にこっちから魔力を流すと、相手に着信がいくの。簡単に言ってしまえば、電波の代わりに魔力を使った通信機ね」
「へえ、こんな魔道具があるんだ…」
「……でも一つ、注意がある。流し込む魔力があまりに多すぎると、魔力容量の限界を突破して爆発してしまうから、くれぐれも気をつけて…。流し込む魔力は、微量で足りる」
「なんか物騒ねっ!」
「魔道具は便利だけど、思わぬところに落とし穴があるんだよねぇ。…さあ、いきましょうか。何かあったら必ず連絡してね!」
「うん…わかった!!」
話がつくと、六人は翠の家から飛び出して三つに散らばっていった。