「……オオオオ……」
「…ディスコツィオーネよ。まだかかりそうですか?」
「……ああ、我が主人よ。現在、島中の人間を捜しているのだ。漏れがあると、都合も悪いであろう?」
「…ええ、その通りです。…ですが、もう少し早めにはできませんか?奴らが来ないとは限りませんしね」
「フハハ…ご冗談を。こんな短時間にこの上空までやってくることなど不可能!まして、かかるまで後ほんの10分…それで来るはずが…」
「ウォオオオオオオッ!!!!」
「…主人よ、何かおっしゃったか」
「いえ、私はなにも…」
「町長ゥウウーーッ!!ディスコツィオーネェーーーッ!!!!」
目の先には、大声で叫びながらこちらへ進撃してくる赤い龍と、背中に確認できる優也達。
「こ、この叫びはあのドラゴンからですか!?あ、あの背中に乗ってるのは…真田優也 はっ…!更に捕まえたはずの奴らまで…!!」
「…ク、フラグ回収が早すぎたようダナ…」
「その自覚あるんだったら言うんじゃないですよ!くそ…本当に邪魔してくれますねえあなた方は!!なんですか、そのドラゴンは!?」
「…貴方がした事に怒る、カラフルアイランドの住民代表だ!!!!」
大きな怪人と赤き龍が今、ぶつかる。
アヴィドレイク
真田優也
桐谷楓
青村咲希
パタフリル
VS
町長
覚醒 ドン・ディスコツィオーネ
『戦闘開始』
「……いいのか、すんなり行かせちまってよ。」
ダイロはオランジュを鋭い眼光で睨みつけていた。
「僅かだが時間は稼げた。戦力も、お前が抜ければダダ下がりだろう」
「…へえ。意外だな、そこまでアンタに認められてたのかいオレは。」
「あぁ…敵なのが惜しいぐらいになぁ!!」
大剣を持ってるとは思えないほどの速度で懐へ潜り込むオランジュ。
「大一閃!!」
大剣の半分にも満たぬほどの剣で対応すれば力負けしてしまい、弾き飛ばされてしまう。
……それを、ダイロはわかっていた。
「ウィンドネススピン!!」
ディスカラーズ戦で使った大技。風魔法の出力をあげ、オランジュの攻撃を受け止める。
「ぐっ…俺の大剣をいなすだと!!」
勢いを増した回転切りは、大剣の一振りも弾くほど。
「おらぁあああ!!!!」
ダイロはそのままオランジュに回転斬りを当てようとする。…が。
「…ずっと同じ動きならば、止めることはいとも容易い」
オランジュは剣を構え、大きく飛び上がった。
「大天・月夜斬り!!」
そのまま、高速回転をするダイロの剣目掛け、勢いよく大剣を振り下ろす。
剣と剣がぶつかり合い、鈍い音を鳴らす。
「ぐっ、勢いが止まった!!」
「そこだ!!」
怯んだダイロの手を、大剣で弾く。ダイロは剣を手放してしまった。
「あぁっ剣がッ!!」
「ふんっ!!」
さらに動揺した隙をつき、みぞおちを喰らわすオランジュ。
「ぐがあっ…!」
「…やれやれ。店から勝手に商品を持ち出すとはとんだ不届き物だな」
「おめえに…言われたかねえ…。…ぐふっ、こうなったら…剣次郎を…!」
ダイロはいざと言うときのために持っていた、自身の剣を取り出す。
「…お前、まだ武器に変な名前をつけているようだな」
「……武器に名前をつけるのは…変なことじゃねえだろうが…!」
「いいや。武器に名前をつけていいのは職人が全身全霊を込め作った業物だけだ。お前のお遊びで作ったなまくらにつけていい物ではない」
「……今…なんつった…!」
「お前のお遊びの鍛治で作られた剣は、名前を付けられるほどの物じゃないと言ったんだ」
「…もう、いい。……もうたくさんだ!!」
「……キレているのか?冷静力にかけた敵を撃ち倒すのは、実に容易いことだぞ」
「いいや。冷静じゃねえのは…アンタのほうさ!」
「……なに?」
「普段のあんたならよ、そんな事は絶対言わねえ。俺の鍛治に対する姿勢を、そして剣を、馬鹿にして笑うなんて絶対しねえさ。俺の尊敬する男はな!!…今のあんたこそ、冷静さが欠けてどうかしちまってるぜ!!!」
「っ…黙れっ沈めぇえ!!」
思い当たる節があるのか、激昂するオランジュ。大剣を再び、振りかぶった。
「……」
それをギリギリ避けるダイロ。そこへ攻撃を仕掛ける。
「ウィンドネス・カット!!」
風の力を纏い、素早い斬撃をオランジュへと食らわす。
「…くっ…はっ……、その程度か?」
ダイロの剣は全て大剣により防がれてしまっていた。
ましてやオランジュの持つ剣は彼の打った中でも傑作品。まるで歯が立たない。
「…うぉおおおおお!!」
それでも斬るのをやめないダイロ。オランジュはそれをみて嘲笑う。
「結局、勢いに任せただけか!!万策尽きたか!?」
今にでも隙を見つけ、反撃してやろうとオランジュは企む。…だが。
(…おかしいぞ。これだけ攻撃を続けてながら、なぜスピードが落ちぬ!?むしろ、増していっているような…)
次の瞬間、ダイロの斬撃がとうとう防ぎきれずオランジュの身体へと走った。
「うぐおぉっ!?」
「うぉおおおおお!!!!」
「なぜだっ…ぐ、熱ッ…!!……ひ、火属性の魔法!?」
「当たりだ」
…ダイロは風属性だけでなく火属性の魔法も剣に宿し戦っていた。
火の力はまるでエンジンのように、斬撃の速度を、勢いを限界を超え速める。
複数の魔法を武器に纏わせ戦える者は少ない。それほど難しい高等技術をダイロはやってのけているのだった。
「うおらぁあああ!!」
「ぐあぁっ!?」
火と風の力で速度と火力を増したダイロの剣は、とうとうオランジュの大剣を弾き飛ばすことを実現した。
「おらぁ!!!!」
そのまま肩へと、思い切り剣を振りかざす。
「ぐぁっがぁっ…!」
肩を押さえながら、膝をつくオランジュ。それを戦闘不能とみて、ダイロは攻撃をやめた。
「…い…いつの間に……そこまで強くなってやがった…」
「アンタが弱くなったんじゃないか?ハッキリ言って、アンタの剣は曇っていたぜ。…素人目でもわかったよ」
「…そんな事まで…言えるように…なりやがって……」
オランジュは気を失い、倒れた。
「はぁ……ちょっと…無茶し過ぎたか。でも……勝ったんだ…し、師匠に…」
オランジュ VS ダイロ
勝者 『ダイロ』