息抜き落書き - newレイラ
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マスク無し

マスク有り


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マスク有り



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マスク有り





僕はロヴェル・レイラ・ハーツィオ。魔王軍の八大幹部をやらせてもらっている、人間の女の子だよ。

だけど、仲間の魔族達にたまに『なんで人間なのに魔王くんに入っているの』とか、『なんで女の子なのに僕って一人称なの』とか、『なんでミドルネームがあってその名前で呼ばせてるの』とか…意外と聞かれることがある。

正直そっとしておいて欲しい!って思ったけど…うん、君達にだけなら…話してあげよっかな。

今あげた三つの疑問、それは全て…僕の生まれた環境が原因しているんだ。

僕の生まれた国は、リュバンティア王国。…とても男尊女卑の激しい国なんだ。

そんな国で母は跡継ぎを産む為だけに貴族である父と結婚した。…でも、父はとても優しい人だったんだ。

父は母とは対等な関係でいた。そして、家の中では女の使用人にも優しく接してた。ただ、外では…女性に優しくしただけで
腫れ物を見るような目で見られて父の仕事も信頼も無くなってしまうらしいから、嫌々女性を貶す仕草をしていた。

僕はそんな両親の間に第一子として生まれた。

……母は僕を産んだ後、一晩泣いたらしい。この国では女は奴隷になる運命。優しい母は僕の将来を憐れんで泣いてくれたという。

そこで父はある提案をした。…それは、僕を男として育てるという事だった…。

だから僕は幼い頃から男でいるよう教えられた。この国の事も、女であることがバレたらまずいと言うこともね。

…これが、僕という一人称の理由。……ほんとは『私』っていう女の子らしい一人称で喋りたいんだけど、どうも癖が抜けないな…

そして僕は男として育てられた…。だけど成長していくうちにやっぱり、男として生きていくのは…違和感があった。当時は、この国にまともな格好した女の子がいなかったけど、もしスカートとかフリルいっぱいのドレスを目にしていたら…きっと着たくてたまらなかったんだろうな。

母はそんな僕を見かねてこう言った。「…もし、男として生きていくのがどうしようもなく辛かったら。この国を出てお行きなさい…。外の世界は女のあなたを受け入れてくれるはず。」

そしてもう一つ。「あなたが…もし外の世界に行ったら、男の子としてつけたロヴェルじゃなくて…レイラと名乗りなさい。あなたが生まれた時、隠し名としてつけておいたの。あなたの本当の名前はロヴェル・レイラ・ハーツィオなのよ」

……これがミドルネームの理由だよ。僕は昔、ロヴェル・ハーツィオという男の子として学校に通っていたんだ。

当時の僕は今ほど明るくなかった。自分で言うのもなんだけどね。本当は女なのに自分だけ嘘をついて、奴隷として働く事を免れている罪悪感と緊張。なんでこんな事をしなくちゃいけないのかという、不満もあった。もちろんこの国にたいしてのね。両親には不満は一切無かったよ。

…だけどある日、母が病気で亡くなった。女はまともに病院で診てもらえず…。父も必死に医者を探したが…女性の治療を受けよる医者はこの国に一人もいなかった。この国はおかしい。

そしてとうとう…女であることがバレてしまった。…僕は、学校では体育は誰もいない所で着替えていた。でもやんちゃな男子が…。毎回、体育のたびにいなくなる僕に、何か、疑問を抱いてたんだろうね。僕の事をつけてて、
着替えてる最中を見られちゃったんだ。

そこから、先生にいいふらされて、……先生が激怒して凄い勢いでやってきて。思い切り蹴り飛ばされる…かと思ったけど、何故かしなかったな。なんでなんだろうね…?でも、そこからはとんとん拍子で家に連絡、警察までやってきて…僕は性別詐称の罪で投獄される事となった。

父は…。僕が捕まる際ひどく抵抗をして、殺された。

ずっと僕は泣いていた。 自分のせいで…父は死んだ。病気で亡くなった母にも申し訳なくて、顔向けできなかった…。僕は自分が女である運命と…この国を…酷く憎んだ。

…しかし、その後突如。何かが破壊される音がした。何事だろうと顔を上げると…。リヴァ様がいたんだ。

リヴァ様は僕を逃がしてくれた。そして、身寄りのない僕を…魔王城で育ててくれた。

最初は、心を閉ざしてずっと閉じこもってた。でも、魔王軍の仲間…カリナとか、マジーナとかが励ましてくれて少しずつ、心を開いて行ったんだ。

そしてリヴァ様の…魔王軍の目標は世界を闇で覆い、人間をこの世から消して魔物の世界にする事。リヴァ様は…。人間の汚い部分をたくさん見てきたという。…それは僕も同じだった。だから…僕も彼の考え方に深く賛同するのは必然的だった。

だから僕は魔王軍で魔法と、戦い方を習った。…リヴァ様は別に無理して戦わなくてもいいと言ってたけど、僕は彼の役に立ちたかった。……僕は狙撃術と心を操る魔法を取得した。そして…身のこなしの良さを買われてスパイとしての潜入調査も任されるようになった。

これが…人間ながらにして、今僕が魔王軍にいる理由。そして……八大幹部にまで上り詰めた所以だよ。

柄の悪い奴によく言われる、人間の癖に魔王軍の幹部だなんて、ズルい事でもしたんじゃないかとか。
そんな事は断じてない。僕は…必死だった。ひ弱な自分の力を鍛えて、リヴァ様の役に立つ!!
そして…僕と両親をこんな目に合わせた人間を消してやる…。そして世界は絶対的な魔王、リヴァが支配する魔族によって。差別もなく、平等な世界を、築き上げるんだ!!

そんな人一倍強い思いが僕をここまで強くさせたんだ。

もうじき…。世界は闇に包まれる。ふふっ、邪魔者は許さないよ?特に、人間はね…!