またーり書き込みしましょ(´・ω・`)

Chapter0.『始まり


現在より何百年も昔の事、魔王リヴァは宇宙からこの星にやってきた。
リヴァは自身の姉、マギシーと旅をし、初めて人間と出会う。
…しかし、人間達は彼ら魔族を恐れて追い出そうとする始末であった。

リヴァ達にはこの星で仲間が一人できていた。盗賊達に殺された少年が
怨念の力によって生まれ変わったシャドー・マターである。
彼をかつて殺した盗賊達や魔族を差別する人間を見て、当初リヴァは人間と共存する道を
望んでいたが、その考えは変わっていく…。(慈悲の魔王と慈しみの魔女より。)

彼は人間を支配しようと決心した。自分が全て愚かな人間を牽制できれば世界は良くなると思ったからである。
話し合い?彼らに魔族の話を聞く耳は持ち合わせていない。彼は痛いほど思い知ったのだ。そうとなれば…征服するしかない。
だが、ただ力で征服するのは…嫌だった。彼の最も嫌うもの、それは実の父であるリヴァルスである。
リヴァルスもかつては自身の星の先住民を殺戮の限りを尽くして征服したという。そんな父と同類になるのは何より嫌だった。

そして彼はある計画を思いついた。人間は…誰も殺さない、命は蔑ろにしない。聞く耳を持たない人間を説得する必要も要らない。そんな計画を。
その計画を、円滑に実行するには──仲間が必要だった。

それから彼は魔王を名乗り、魔物を生み出し魔王軍を築き上げていった。城を建て、仲間が増える度に増築をして。
巨大な組織へと変貌して行ったのである。そして、今魔王軍を支えている八大幹部達…。彼らとの出会いはこれからであった。

Chapter1.『ガダルカリナ


魔王リヴァが魔王軍を創設して数年経ったある日。
とある子供の魔物が最果ての大地に迷い込んだ。

「……ここはどこ?」

この世界には魔界というものがある。
魔物達の世界。死んだ魔物はみんなここへ送られる。
そして、基本的にはこちら側と繋がる事はないが、魔界からは一方的に魔物が流れてくる。
これが、倒しても倒しても魔物がいなくならない仕組みだ。

彼、名を『ガダル・カリナ』。カリナもまた、魔界で生まれた魔物だった。ある日彼はこの世界からの一方通行の扉に入ってしまった。
そして、気がついたら最果ての大地に立っていたのである。
…魔王リヴァが治めている魔王軍の本拠地である。

「お母さんはどこだろう…?」

「おかあさ〜ん!!お兄ちゃーん!!……」

「うぅ…一人で遠くまで散歩したのがいけなかったかな…」

突然の知らぬ地で、途方に暮れるカリナ。そこにある影が近づく。

「おい、そこのオマエ!」

「うわぁっ!?」

「……見ない顔だな、誰だ?」

「ぼ、僕はガダル・カリナ…ねぇ、ここはどこ?」

「ここは魔王様の拠点がある最果ての大地ってとこだ」

「? 魔王?ロイ様の事かな…」

ロイとは、魔界の王の事である。

「ロイ?誰だそいつ?」

「えぇ!?ロイ様の事知らないの?魔界の住民なのに…」

「……魔界?」




「カッカッカッ!そうか、お前ここが魔界だと思ってたんだな!!どーりで話が噛み合わなかったワケだ!」

「まさかここが現世と呼ばれる場所だったなんて…」

「まあ雰囲気じゃわかんないのかもな!なんたってここは魔王様の力によって魔物にとっていい環境だからな。魔界と変わらないのかも知れない」

「ああ…申し遅れたな。俺はバリアッチ!魔王軍所属だ!!」

「そう言えばさっきから魔王って…現世の魔王って一体誰なの?」

「魔王リヴァ様だ!魔族の中のカリスマ的存在なんだぞ!!」

「お前、行く宛がないなら魔王様に会ったらどうだ?」

「……魔王様か」

彼は誘いに乗り、魔王城へと案内された。

「君が…ガダル・カリナ君かな」

「は、はい。」

魔王特有の威圧感に潰されそうになるカリナ。そしてしばらくの沈黙の後、魔王が口を開いた。

「残念なんだけどね…魔界に帰るには、色々と複雑な条件があると聞いているんだ」

「……聞いているんですか?知っているわけではなく?」

彼は不思議に思った。魔界への帰り方。彼のような子供は知らなくても、魔王に上り詰める程の魔族なら知っているのでは…と感じたのだ。

「ああ、実は僕魔界生まれじゃないんだ。だから魔界には一度も行ったこともないし現世からの帰り方もよく知らなかった。」

「ごほん。だから…色々と事情があって、君を元の世界へ送り返すには時間がかかるよ」

「……そうですか」

彼は落胆した。魔王なら、なんとかしてくれる…と少しばかりの期待を込めていたのだ。

「そこでだが…しばらくの間、僕の下で働かないか? 衣食住は揃っている。」

「えっ、リヴァ…様の下で?」

「ああ…。君が帰れる時まで、ここで働く。その対価として可能な限りの願いを叶える…という話だ。」

「働く内容は…君にできる範囲で構わない。戦闘、建設、家事…。とにかく人手が増える分はこっちは困らないからね。可能な限りの願いというのは君が帰るためのサポートはもちろん、ここでの生活と怪我の治療やその他要望などを保証しよう。」

断る理由が無かった。子供で世間知らずのカリナにとっても、これはいい条件だと思った。

「…ここで働きます!!」

「ふふ、そうか。…じゃあ、君の気にいる部屋を一緒に探そう。さあついて来て」


こうして、ガダル・カリナは魔王軍の一員となった。
それから現在。彼はまだ魔王軍にいる。魔界に帰れるチャンスはそれまでに何度かあったが
リヴァに仕えたい思いがどんどんと大きくなった彼は魔界に帰る気が無くなり
正式に魔王軍に所属する事となったからである。

彼は占い術に長けていた。そしてどんな事も50%の確率で答えが出せる占いを出来るようになった彼は
魔王軍への貢献と実績を認められ、大幹部(後の八大幹部)になったのであった。

…それから数年後彼は、自身の迫力の無さに幹部である立場が見合ってないと
急に仮面と背丈を誤魔化す装いをしだすが…それはまた別の話である。

Chapter2.『トリッカルマジーナ


魔王リヴァは、魔物を生み出して魔王軍を強化するだけでなく、各地の魔物の村を巡って説得をしていた。
自分はこの世界を支配して、みんな平等に過ごせるようにする事、そしてそれに伴い人間と戦争を起こす気は無く
魔物の犠牲者も誰一人出すつもりはない事を説明した。

もちろんそんな事で信用する者はいない。だから魔王軍は村に食料や素材を提供し、年に一回リヴァが直々に村を訪れて周り信頼を得ていた。

そしてここ、闇の海に浮かぶ島には、横角族(おうかくぞく)が住む村があった…。

「……」

「……」

「何か、言うことは?」

「落とし穴を村一面に仕掛けて、村長並び村民の皆様に多大なるご迷惑をおかけした事を深く謝罪申し上げます」

膝をついて謝っている彼の名前はトリッカル・マジーナ。悪戯がとにかく大好きな横角族の少年だ。

「全く…お前のいたずらはもはやテロ行為みたいなものだぞ」

「だけど、そこまでやるなんてやっぱお前の悪戯はレベルがちげーよな!!」

「だろー!?」

そして嬉しそうに隣で喋っているのは同じ横角族の友人、レンドだった。

「おい、褒めるなレンド。お前も落とし穴に引っかかっただろ?」

「だってダチのした事だし?それに規模がすげえじゃんか村全体って!」

「まったく……とにかく今回は超厳重注意で許してやる。…いたずらするならもっと被害を抑えるように」

「いや村長!!そこはいまずらはもうやめるように言わないと!!」

「こいつが聞くか?ったく…そろそろあの時期だってのに…」

「んあ?あの時期?」

いまいちピンとこないマジーナにレンドが答える

「お前知らないのかよ、例年通りならもう時期、魔王リヴァ様がこの村に訪れんだよ。毎年各地の魔物の村を巡られてるんだ。人間に攻められた村がないか確認するためにな」

「毎年来てんのか?会ったことねえなぁ」

「それはお前が毎年毎年、悪戯をしすぎて牢屋に入れられてるからだろ!!」

「あっ…そっか。へへ」

「とにかく!!魔王様の前では大人しくしてろよ、マジで。」

「へっへっへ〜どうしよっかな〜」

「……村長、やっぱこいつ今年も牢屋に…」

「すんません!!それだけはやめてください!!」


そして数日後、魔王リヴァがやって来た。

「リヴァ様が来られたぞー!!」

「リヴァ様、ようこそお越しくださいました。」

「やあ、一年ぶりだね。何事も無く過ごせたかい?」

「ええ、ええ。人間に襲われることもなく無事一年過ごせました。…まあこの闇の海に人間が立ち入ることなんて滅多にない事ですが。」

「ふふふ、それもそうだな。…村を見た感じ、作物もしっかり採れてるようだな」

「ええ。リヴァ様が手を回してくださったおかげでございます」

「よっ!魔王さん!」

突如元気な声が、静かな村にこだました。

「誰だい、君は?初めて見る顔だね。」

「あ……あ……」

「俺はこの村に住むトリッカル・マジーナ!!一回会話してみたかったんだアンタと!」

「アホンダラーッ!!魔王様に対してな、な、なんという無礼なッ!」

「ああ、いいんだよ別に。彼も悪気があるわけじゃないだろう?」

「で、ですがね…」

「魔王がいいって言ってんだからいいじゃんか!…はい!」

リヴァに向かって手を差し出すマジーナ。

「…どうしたんだい?」

「どうしたって、握手だよ握手!!魔王なのにこれぐらいわかんないのか?」

「おい!いい加減に…」

「そうだね。よろし…

くぁああああ!!」

「ギャハハッ!!引っかかったー!!ビリビリッと来たろ?」

「は……ははは…油断してたね」

「マジーナ!!お前やっていい事と悪いことがあるぞこの馬鹿野郎!!」

流石の所業にキレだした大人の魔族がマジーナに殴りかかる。

「いってー!殴る事ないじゃんかよー!!」

「俺たちにやるのと魔王様にやるのは別だ!!機嫌を損ねたら最悪この村が滅ぼされるかもしれないんだぞ!!」

「フハハハ!!君、面白い奴だね。魔王に向かってこんな事するのは君ぐらいだよ?」

高らかに笑い出すリヴァ。ざわざわと騒ぎ立てる大人達を一切目にも止めずその瞳はマジーナをとらえていた。

「…おお、このイタズラの面白さがわかるなんてあんたわかってるなー!さっすが魔王だぜ!!」

「頼むからお前は態度を慎め」

「……マジーナ君、だっけ?君…忠誠心は全くなさそうだけど面白いね。気に入ったよ。僕の下に来ないか?」

「…え?」

「君さえよければだけどね」

「えええええええ!?」

「すげーなマジーナの奴〜!魔王様に悪戯が認められたぞ!」

思いもよらぬ勧誘に、誘われた本人よりも村人達が驚愕する。

「嘘だろ…あの村一番の問題児がか?」
「やめといたほうが…魔王城がイタズラのトラップだらけになっちまうよ」
「魔王様は熱でもあるのか?」
「何か悪いものでも…」

「うるさい、貴様らは黙っていろ」

「すっ、すみませんでした!!」

リヴァがうるさいガヤを一喝した。

「で、どうだい?魔王軍に入る気は?」

「魔王軍に入れてもらえるなんで滅多にないチャンスだぞ!!入れてもらえよ!!」

友達が後押しをする。

「うーん…。イタズラはできるのか?」

「ああ。僕の部下が毎日相手してくれるさ(多分)」

「イシシッ!!なら入るぜー!!」

「…まさかお前が魔王様に選ばれるとはな。別れるのは寂しいが、親友として嬉しいぜ」

「え?何言ってんだよ」

「魔王軍になったら魔王城で暮らすんだ。だから俺たちはサヨナラだ」

「ええ、マジかよ!!…やっぱりダチと離れると寂しいからやめようかなあ」

「それじゃあ君も来るといい。…他にもマジーナの要望なら最大限叶えてやろう」

「え、マ、マジっすか!?」

「おー、やったなあ!!サンキュー、魔王!!」

「お前はとりあえず、魔王様に対する態度をなんとかしろ!!」

こうして、トリッカル・マジーナと、その親友レンドは魔王軍に加入する事となった。
その日から魔王軍にイタズラが絶えることはほぼ無かった。そのイタズラはマギシーの反感を買い
ボコボコにされて反省文を書かされるマジーナの姿が度々目撃されたという…。
そして数年後、彼のユーモアな性格と(イタズラする為に鍛えた)様々な魔法を買われ、彼は八大幹部に昇格する事になる。

Chapter3.『キュランケンウルフ


魔物間差別撲滅計画。…数十年前より魔王リヴァが実施している計画だ。
『全てが不自由なく平等に暮らせる世界』
それを作るのがリヴァの夢だ。その為に、魔物と分かり合えない人間を消す為に
今まで彼は魔王軍を成長させて来た。しかし当然やっていたのはそれだけでは無かった。

人間が魔物を差別する。魔物で無くとも、他種族だったり、性別だったりで差別が起こる。それと同じように、魔物間でも
差別というものはたくさんあった。それどころか人間よりも多いぐらいにだ。
魔物や魔族はいろんな生まれ方があるし、様々な種族との交配も可能。
だから特異性を持って生まれてくる魔族もたくさんいる。
結果、周りとは違うその魔物は非難され、孤立して、最悪殺される。

そんな魔物の世界での問題を無くすために作られたのが、この計画である。
前回も述べたが、リヴァはこの世界の魔族の村に時折訪れる。
その時に魔物達に変な差別や偏見で判断したり、排除したりするのは
良くないという事を子供達にしっかりと教えるよう伝えて回った。
初めはおかしな事を言う魔王だと思う魔族もたくさんいたが
リヴァの手回しによって村が潤沢になって行き、優しい心を持つ者が増え始め
魔物の社会は変わっていったのだった…。


そして、それによって。魔王リヴァに一層深い忠誠心を持つものも現れ出した。
ある魔族の村では、老人の魔族が孫に魔王軍に入らないかと、話をしていた。

「……わしらの時代は、我々のようなキメラは外を出歩く事もできんかった。フンガー…。」

「フンガ〜!あの魔王リヴァ様ってすごい人なんザンスね〜」

そして孫である彼の名はキュラン・ケン・ウルフ。
フランケンシュタインと、狼男と、ドラキュラのキメラである。
遥か昔に彼らの先祖はそれぞれの種族のハーフ同士で子を成した。
勿論多種族との交配は珍しくないが…3つの種族の血を持つ魔族は
珍しかった為、避けられ続けて来たのであった。

「お前を今まで鍛えてやって来たのは、恩人であるリヴァ様の力になって欲しいからでガンス…」

「なるほどでガンス。今の話を聞いて、ミーも少し魔王尊敬したザンス!フンガー!」

「ククク…さて、そろそろ魔王様が村に来られる時期ザンス。魔王様は魔王軍のメンバーを集めておられる。
きっと今のお前が志願すれば…入れてもらえるでガンス…」

「おおおおー!!……でも、そうなったらしばらくお別れでガンス、おじいさま。」

「なぁに…何も寂しくなんてないザンス…あのお方の軍だ…きっと、賑やかでガンスよ…」

「お前は今まで何も聞かずワシの修行について来てくれたガンス…必ず魔王軍でもやっていける、自信を持ちなさい。」

語尾が無くなる。彼らはとても真剣に考えた事を口に出す時は、特徴的な語尾が消えるのだ。

「おじいさま…!!今までありがとうでガンス…」

……数日後、魔王リヴァがやって来た。
彼は魔王軍に志望の旨を伝える。彼の真剣さもあいまって
無事に所属が決まった…。

「ここが…魔王城…」

魔王軍には様々な魔族がいた。中には彼と同じようなキメラも。
みんな楽しそうに談笑していた。彼の祖父の時代では全く見られなかった光景である。

「…魔王軍…。楽しくやっていけそうガンス、おじいさま…」

彼はキメラ。リヴァのお陰で嫌な差別も受けない平和な時代で暮らして来れた。
偉大なる魔王様の下で…彼もそんな偉業をなし得たい。
そう思って今も鍛錬をしている…。

Chapter4.『ゴルドボーネット


ワタクシは骸骨。アンデッドよ。

ただ周りと違うとしたら…金ピカで、美しくて、強い事かしらね。

スケルトンの突然変異で身体が黄金で出来てるの。だから攻撃も鎧なんか着なくたって
まったく通さないし、魔力も高いのよ、オホホホホ。

ワタクシはすぐにアンデッド達の頂点に立った。
それから、部下に金銀財宝を集めさせて、宝石に埋もれて暮らしたわ。
ワタクシは光り輝く宝石と金が大好き。とても幸せな時間を過ごした。

でもある日、魔王リヴァ…というのがやって来たわ。
生活の苦しい村から財宝を奪うワタクシに注意喚起しに来たんですってよ。
オホホホホ!ワタクシの恐ろしさを知らないバカがまだ居たなんてね。
たっぷりお仕置きしてあげるわ…!


やられた。完膚なきまでにやられた。ムキーっ!!なによあの強さ!!
魔王だとか言ってたけど、ワタクシが昔潰してやった魔王より遥かに強かったわ!!
いや、それもそうなんだけど私の身体に…!この金ピカに輝く美しき身体に…
あろうことかヒビを…!!そのせいで取り乱して負けたのよ。ワタクシの実力はこんな物じゃ…!

……。え?治ってる。ヒビが、綺麗に。…どうしてかしら?

…あくまでワタクシを倒す気はないと?ふうん、舐められたものね…。
別に、魂を浄化して消してくれたってかまやしないわよ。だって、どっちにしろ
負けたワタクシはこの財宝ちゃんをみんな失うんだからっ…!!

…え?あんたのところに?何の冗談よ。…宝物庫?……。少しだけなら見に行ってあげてもいいわよ。

ワタクシはうまく彼の口車に乗せられ、魔王城に連れて行かれた。そこにあった宝石庫は…まさに宝の山!!
今まで幾多もの財宝を奪ってきたワタクシより豪華な宝物庫なんて…!燃やしてやる…
え?魔王軍に入って、もう悪いことやめたら?ワタクシが?ここに住んでいいですって?
うううう……わかったわよ!!誰かの下につくなんて癪だけど…ワタクシに勝ったあんたが
そんなに誘うってんなら、特別に入ってあ・げ・る。

…魔王軍に所属して数年、ワタクシは宝物庫で宝石ちゃんと共に過ごしていただけで
幹部になったわ。案外チョロいわね。なんかヤケにこの魔王軍、彼を信仰する魔族が多いけど…
ワタクシはワタクシ。自分さえ良ければ後はどうだっていいわ。まあ、とりあえず
宝物を自由に触らせてくれるこの組織、ワタクシも潰れたら困るわ。
いざという時は力を貸してやっても構わないわよ…。

「……ふむ。これは…当たってるのかは不明だが、明らかな敵意はなさそうみたいだ」

暗い部屋で水晶に写し出されるゴルドを見るのは、ガタル・カリナ。
彼はゴルドの事を少し不審に思い、占いで彼女…いや、彼の心を読んだのであった。50%で外れるらしいが。

「しかし…まさか女ではなく…オカマというやつだったとはな…。いやあの見た目じゃわからないだろ…」

ちなみに占いで個人の情報を得るには顔、名前、性別の情報が必要であった。
それで彼女は彼だということがわかったのである。

「…どうやら仲間になった経緯は当たってるみたいだな。信憑性は高いか。」

「まあ、真偽はどうであれ。もし彼が裏切る真似をしたら必ず私が…魔王様を守らねば…」

生い立ちより、頂点に立っていたゴルド。そんなゴルドは魔王軍の幹部達でも少し
とっつきにくい存在だった。もし彼が裏切るようなことがあれば…。
必ず自分が、彼を止めなくては…。そう心に誓ったカリナなのであった。

Chapter5.『紫久佐 悟郎丸


旧体…【きゅうてい】と読む。鎖国国家として有名で
独自の文化で繁栄している国であった。そんな国でかつて
人間に扮して暮らしていた侍がいた…。

「……むぅ、ここにも外の国の文化が及ぼしてるでござる」

近年、旧体は開国をした。その影響で貿易が盛んになり、様々な文化を
積極的に取り得ようとする取り組みが増えたのである。

今まで全く触れることのなかった外国の文化に興味津々な人もいたが…
困惑する人も多かった。彼もまたその一人であった。

そんなある日、彼は市で外国のものを売る商人に出会った。

「…この箱はなんでござるか?」

「それはかめらという物でありやす。しゃしんという、見たものをそのまま写せるからくりでありやす」

「見たものを映す…?魔道具の類でござるか?」

「いえいえ!魔道具ではなく、外の国の不思議なカラクリでして!ほら、ここを押せば…」

パシャ!!と、カメラが強い光を発して写真を撮る。

「くっ!光魔法か!?」

「ひひひ…驚きなさんな…ここからです…」

「ほら、しゃしんが出てきやした。ご確認を。」

「おぉお…拙者が映ってるでござる。なんとまあ珍妙なカラクリ…本当に魔道具ではないのでござるか?」

「ええ。外の国では当たり前のカラクリでございやすとも。」

「……外の国はすごいのであるな。こんなものを作るとは…」

新しい文化に戸惑いつつも、彼は少し外の国に興味が湧いていた。
この国を飛び出し、旅をするのもいいかもしれない、そう思いかけていた。

「しかし、だからと言ってこれは落ち着かぬ…!」

…和風なものでないと落ち着かない、というのがなければ。

あくる日の事、彼の城の主人は城を洋風文化を取り入れて模様替えをする事にした。
そして、彼の借りている部屋も、模様替えの話が出て悟郎丸は猛反発をしていた。

「拙者は断固拒否でござる!!そのかーぺっとやべっどなどというのに変える気はないでござる!」

「お主も硬いやつじゃな、他国の文化を受け入れい!布団も畳も古くなっておったじゃろ、
ちょうど良いではないか!!」

「拙者は今のままでないと落ち着かないでござる!」

「…ふん!偉そうに、侍のくせにのう!」

「な、なに…?」

「そもそも戦乱でない今の時代にお主のような侍、必要ないのじゃ。わしらのやり方が気に入らんのなら出てゆけ、戯けが!」

「くっ…貴方様には、もうついていけませぬ」

悟郎丸は城の警備の仕事を辞めた。これからは一人さすらう侍として生きていく事になる。

「……この世国も、少しずつ変わって来ている。もう拙者のような侍も必要なく…新しい文化が押し寄せて来る。」

「拙者は…時代に置いていかれるのか」

「…ふむ。それならば……。」


──────


月明かりの下、見晴らしのいい丘の上に正座をしている悟郎丸の姿があった。

「和の誇り 捨てて生きるは 武士の恥
誇りなき者 武士にあらず。 悟郎丸」

短刀を握り、腹にあてがう。

「……さらば。」

そして刀を腹に突き立てたその時だった。

「勿体無いね」

「…!何奴!!」

素早い動きで、日本刀を抜き切りかかる悟郎丸。

「…やっぱり、いい反応速度だね」

「…!拙者の刀を…受け止めているだと?」

「君さ、最期ぐらいは…本当の姿を見せたらどうなんじゃないかな?」

「な、なにを…?」

「君、僕と同じ魔族なんだろう?」

「……。まさか、拙者の…変装を見破るとは。お主何者だ?」

悟郎丸は変装を解く。肌が青く染まりだす。

「…へえ、割とシンプルな変装だったんだね」

「拙者は何者かと聞いているのだ」

「ああ、これは失礼した。僕は魔王。魔王リヴァだ。」

「……魔王?はて…。古き文献で聞いたことがあるような。」

「魔族を束ねる王…そうだね、君たちの国で言えば殿様みたいなものだよ」

「魔物の殿であらせられたか…此度は拙者の無礼な態度、深く謝罪申し上げまする。
そうだ、拙者の切腹で詫びを…」

「そ、そこまでやらなくていい。…それにそんな礼儀に気を使わなくともいいさ」

「して、これから死ぬという拙者に…魔王とあらせるお方がなんの用でござろうか」

「いや?ただ同胞が自害しかけたところをたまたま通りかかったから止めようと思っただけさ。」

「…左様であるか」

「理由はなんなんだい?切腹なんて。何か失敗でもしたのかな?」

「…いえ。実は……、」


「そうか…。変わっていく時代についていけなくなったと」

「和の誇りを失っていく国。とうとう我が主人にまでそれは及んだでござる。」

「このままでは拙者も…。和の誇りを失うなど…武士としてあるまじき事!!」

「和の誇りを失って生きながらえるくらいならば、武士として死にたい。そう思ったのでござる」

「なるほどね…。……でも、やっぱり君は死ぬには勿体無い」

「……勿体無いと?」

「…和の誇り。武士としての心構え、素晴らしいじゃないか。…僕のもとへ、来い!紫久佐悟郎丸。
君の望む武士としての和の誇り。僕が約束しよう」

「……!!」

こうして。紫久佐悟郎丸は魔王軍に入り、外の世界へ飛び出した。
新しい体験に驚き、戸惑うこともあったが。彼は武士としての心を忘れなかった。
魔王城では和室を提供され。周りの環境全てが和で満ち溢れていた。
和の誇りを…。魔王は約束してくれた。それは無事、果たされたのである。

「…拙者の残る余生は、全て武士として。そして、和の誇りをかけ。我が主人に仕えるのみ」

武士として、紫久佐悟郎丸は魔王の立派な家臣となっていった。



「…ところで魔王様」

「なんだい?」

「あの時、何故旧体におられたのですか」

「偶然さ。僕はこの世界の各地を巡って魔王軍のメンバーを集めている」

「偶然…ですか。偶然、拙者が刃を腹に突き立てる瞬間に見つけたと?」

「ああ、君の存在は旧体に来た時から気づいてたよ」

「…その時、君はまだあの殿様の下についていた。僕みたいな怪しい奴なんて、問答無用で斬りかかるだろうと思って、チャンスを窺ってたんだ」

「なんと…。……まあ結局、斬りかかりはしたのですがな」

「はははは!それもそうだ。」

Chapter6.『アスターラネット


宇宙──人類にとって、未知なるもの。
我々が日々暮らしているこの世界も宇宙のほんの一握りにすぎない。
とにかく宇宙は広い。故に、分かっていることも少ないのだ。

そして、謎多き宇宙にはとてつもないロマンがつまっている。
そんなロマンに取り憑かれた人々が、働く施設があった────



「よし!実験は成功ですな!」

初老の男性が歓喜の声を上げる。

「素晴らしい…これで、我々は宇宙にまた一歩近づける!!」

ここ、ステラ宇宙センターでは宇宙に関係する様々な施設があった。
何光年も先の天体を観測できる超巨大望遠鏡、無人探査機開発施設、隕石分析室、エイリアン探索会などなど。

そして…今彼らがいるのは、ロケット開発施設。人を乗せて宇宙へ飛び出せる機体を開発しているのである。
今日は開発チームが大きくロケット完成に近づく実験を成功させ、喜び合っていた…。


「やったぞー!ラネットー!!」

自宅に帰るなり、自分の娘を抱き上げる彼の名はアスター・ユーフォ。
ロケット開発チームのリーダーであり…ステラ宇宙センターの元センター長である、アスター・ステラの夫でもあった。
現在でこそセンター長は変わってしまったがかつては宇宙センターで2番目にえらい人だったのだ。

「ぱぱー、そんなに抱きしめたら苦しいよー!」

「おっとすまんすまん」

喜びのあまり、抱きしめ過ぎてしまい離されてしまうユーフォ。

「やったぞって…ロケットできたの!?」

「いや、まだ流石にそこまでは行ってない。だがな、ロケット完成まで今日でグッと近づいたんだよ」

「そっかあ…ううん、それでもすごいね!!ロケットって作るのすごい大変なんだよね?」

「ああ。いつ完成するかもわからない。だが、いつか完成したら…必ずお前を乗せてやるからな!」

「やったー!楽しみにしてるから頑張って、ぱぱ!!」

彼の娘、アスター・ラネットもまた、両親の影響により宇宙のロマンに心をつかまれていた。
彼女は休日にいつも宇宙センターへ遊びに行き、星を眺めたり宇宙船開発を見学したりして遊んでいた。

そんな娘に彼はいつか『自分の開発したロケットに乗せる』と、約束をしていた…。


悲劇は何の前触れもなく起こった。
ある日、自宅で留守番しているラネットの元に一本の電話が鳴り響く。

「もしもし…。アスターです」

「もしもし、ラネットちゃんだよね…心して、聞いて欲しいんだ…」

「あれ?おじちゃん!どうしたんですか?」

電話してきた相手は、父のチームで働いているおじさんだった。ラネットともよく遊んでくれていて声だけでわかったのだった。

「君のお父さんが…捕まったんだ」

「えっ」

頭が真っ白になるラネット。

「…とにかく君は今すぐ家を出るんだ。」

「えっ!?…ぱ、パパは一体何をやったんですか?」

「…………」

「も、もしもし!!」

「…国家機密の情報が入ったチップを盗んだらしい。国家反逆罪で最悪、親族である君も捕まるかもしれない事態だ」

「そ、そんな……!」

「とにかく、すぐに家を出るんだ!!」

「お、お父さんは…!!」

「……君は、とりあえず自分の身の事だけを考えて欲しい。…これ以上話していると聞かれる恐れがある。切るよ」

電話が切れ、受話器を力なく置くラネット。

「…………どうして」

「なんでそんな事をしたのパパ……!」

──二時間後。

「はぁっ…はぁっ…」

簡単な荷造りをして家を飛び出したラネットは当てもなく街を彷徨っていた。

その途中、警察に追われ逃げ回る羽目になっていた…。

「コラーッ!!待てー!!」

「大人しく捕まれば罪は軽くなるぞ!!」

「はあっ…はあっ…」

逃げ続けるラネット。このまま捕まってしまえばどんな目に遭うのか全く検討がつかない。とにかくわかる事は、警察は普通ではない事。
どんなに逃げても失念に追ってきて、どんどん人数が増えていく警察にラネットは気力負けしそうになっていた。

「な、なんで…。殺人犯でもあんな数に追いかけられる事はないのに」

「…みーつけた!」

「キャアアアアア!!」

とうとう隠れ場所を見つけ捕らえられてしまったラネット。

「早く連れてけ!!」

「おう。おらっ、ジタバタすんなよ!!」

「いやっ!離してっ!!」


「──この国の警察は随分と手荒な真似をするんだね」

「誰だ!?」

突然現れた謎の人影に警官は銃を構える。

「とにかく…その娘を離してもらうよ」

その人物は目にも留まらぬ速さで警官から少女を奪取した。

「き、きさま!!警察に逆らってただです…むと……」

「………ま…」

「魔族だぁあああああ!?」

そう、何を隠そう突如現れた謎の人物…いや、魔族はリヴァだった。

「魔族なら構わん!!撃てーッ!!」

ドンドン!と四方八方から銃撃を受けるリヴァ。

「……流石に引くよ、躊躇無しなんてね」

銃弾が少女に当たらないよう全て結界で防ぐリヴァ。

「こっちにはこの娘もいるってのに…さ!!」

魔法で一気に全ての警官を弾き飛ばした。

「う…す、すごい…!」

「さぁ、背中に捕まってて。逃げるよ」

「え、う、うん。」

そしてそのままリヴァは住宅地にある家の屋根まで登り

「シャドー!!帰還だーっ!!」

「はっ!!」

「えっ!?待っ…

……シャドーマターの影に覆われ、少女と共に姿を消した。

「ああああ!!なんて事だ…!」



「……んぅ」

「……!」

「目が覚めたみたいだね」

そこには背の小さい魔族の男の子がいた。

「あ、あの…ここは…?あなたは…?」

「そんな一気に質問しちゃ困るよ。ここは魔王城。そして僕は!」

「魔王軍の幹部、ガダル・カリナ!!あまりの怖さに怯えないでね!」

「え…。全然怖くないけど」

「がくっ。そ、そんなはっきり面と向かって言う!?」


「……こほん。えーとね…君を助けたのは魔王リヴァ様だ。リヴァ様はこの魔王軍のリーダーでおられる方だよ」

「魔王…。そんな悪い人には見えなかったけど」

「あー、そう?…まあ、魔王を悪いと捉えるのは人間だからね。魔族からしたら魔王は英雄みたいなものさ」

「ふーん…なんで魔王様が私を?」

「うーんとねえ…まあ、色々あってリヴァ様はあの国に来られていたんだよ。それでなんやかんやあって逃げてる君を見つけて連れ出してくれた…ってわけさ」

「な、なんか曖昧な説明」

「あ、あははー。まあまあ、魔王様が君を助けたのは偶然なのさ。さあさあ、それはいいとして」

「君のお父さんの事だが…わからない事だらけなはずだ。知りたいだろう?」

「!、っ知りたい!!」

「うんうん、じゃあ話そっか。……あの後逃げてる君の身元を調査した我々は…君のパパが国家反逆の罪で投獄されているのを確認した」

「投獄…!!」

「その理由は国家機密を盗み出したから…。決して外部には漏らしてはいけない情報が入ったチップを盗んだ事になっているんだ」

「そんな!!パパがどうしてそんな事を!」

「うん、不思議に思うよね。…だけど、この罪……。全くの濡れ衣なんだ」

「えっ」

「調べた結果君のパパは何者かに嵌められてしまったみたいなんだよ。…別の誰かがチップを盗んで彼の服に隠したんだ」

「だ、誰がそんな事を…!!」

「…わからないよ。とにかく君のパパは無実の罪を着せられて投獄されていたんだ」

「そんなぁ……。…………投獄、されていた?」

「いいよ、入ってきて!!」

扉が開き、入って来たのは。


「……ラネット」

彼女の父親だった。後ろからはリヴァが部屋に入って来ている。

「パパッ!!」

父に飛び付き抱きしめるラネット。もう会えないと思っていた父親との再会に彼女は安堵の涙を流す。

「ううっ……私、私!!ずっと心配してて…!!」

「うん…。心配かけてすまなかった。…しかしよく警察から逃げ切れたな。偉かったぞラネット」

「でもどうして、パパもここに?」

「君を助けたあと、牢獄を襲撃して彼を連れ出したんだよ」

「襲撃…」

「いやいや、全く驚かされたよ君たちには。壁が崩れた時はもう、死んだかと思ったものだ」

「……さて、これからについての話をしようか」

リヴァが喋り出す。

「……あ、助けてくれた…リヴァ…さん」

「助けてくださりありがとうございます…魔王、リヴァ様、と言いましたか」

「ああ。畏まらなくとも良い。…さて。君たち親子は今、国家転覆の罪で指名手配中だ」

「え、えええっ…。そんなあ」

「まあ僕達が牢屋を襲撃したのもあって裏で大きな闇の組織と繋がっているとか根も葉もない話が飛び交っているけども」

「君達は…残念だが、もう普通に社会で暮らしていくのは困難になってしまっている。」

「……すまない…ラネット……」

「…そこでだが。君達の偽の戸籍と変装魔法を、こちらから用意させて貰う」

「えっ?」

「…そ、そんな事が可能なのですか」

「ああ。魔王軍の力があれば可能だ」

「新しい環境でならば、君たちは普通に生活できるだろう。そうだな…何か新しい仕事を紹介する事もできるよ」

「な、なぜ…我々親子に、そこまでしてくださるのですか?」

「………………約束があるんだ」

「約束…ですか?」

「ああ。まあそれはいいさ。…それで君達はどうする?」

「…いいよな、ラネット?」

「うん…私、パパと今まで通り暮らせるならそれでいい!」

「魔王様…その話、お願いいたします…!!」

「よし、任せておいてよ」


重い罪を着せられたラネット親子。もう人の世界では暮らせなくなった…ように思えたが
魔王リヴァの計らいによって新しい名前と姿を用意してもらい、田舎町で暮らすようになったのであった──。

「……ラクシー、魔王軍の方々を探すのはよさないか」

新たな名前を与えられ、ラネットはスペイス・ラクシー、ユーフォはスペイス・ギャラックを名乗っていた。

「だってだって!また魔王城に行きたいんだもん」

ラクシー…もとい、ラネットは新しい戸籍ができるまで魔王城で暮らしていて色々な事を知った。
そのうちの一つでリヴァとマギシーがかつて他の惑星からやって来たという事実を聞き、
追い求めていた宇宙人に会えたと喜びリヴァを崇拝しだしたのであった。

……そして今は、彼女達に追っ手が来ないか常に見張りをしてくれている魔王軍の兵士にお願いして
魔王城へもう一度連れてってもらおうと探していた…。

「あっ、見つけたー!!ねー、魔王城に連れてってー?」

「げっ!!なんでここにいる事がわかったんですか!」

「えへへっ。なんか雰囲気でわかるようになっちゃった!」

「ねえ、魔王城につれてってよ〜」

「無理ですよ〜!魔王様の許可がなきゃ…」

「いいよ」

リヴァの声が突然聞こえる。

「えっ」

「僕が許可する。連れて来てあげてよ」

通信機器から、こちらの話を聞いていたようだ。

「…はっ!かしこまりました!!」

「やったー!またリヴァ様に会える!」

「お、おい…俺も、同行させてもらうぞ。まったく…これじゃせっかく作って貰った戸籍も意味がないぞ」

「わかりましたよ…ええと、じゃあ私に捕まっててください」

そう言うと魔王軍の兵はバイクの様な魔道具を起動し、それに乗って…空を飛んだ。

「わあー!凄い、空を飛んでる!!」

「…す、凄い技術だな…」

「このバイクはね、魔道具と科学力の融合です!さあ、飛ばしますからしっかり捕まっててくださいねっ!!」

3人を乗せる魔道具は闇の海へ入っていく…。


──その後。ラネットは魔王軍の兵器研究施設を気に入り実験を手伝ったりした。
彼女は、天才だった。父親顔負けの才能を発揮し、さまざまな新兵器を生み出して行ったのである。

そして父、ユーフォはどうしても残ると言って聞かない娘を魔王軍に任せて、自分は田舎町で働く事にした。
月に何度か娘とも連絡を取り合い、その都度、娘の成長に驚いたという──。


そして数年後。

「あのね…お父さん。私、魔王軍に入りたいんだ…。」

「……なんだ、まだ入ってなかったのか?」

「えっ?」

「ははは…既にもう半分ぐらい魔王軍のような物じゃないか?」

「そ、それもそうだけど!…自分の娘が魔王軍に入るんだよ?……人間、滅ぼすのが目標って。昔聞いたでしょ。……反対とか、しないの?」

「……反対するならとっくにしていた。何より、お前の人生はお前の自由だろう。パパはお前が幸せならそれでいい。それに…」

「見ず知らずの俺たちを助けてくれた彼らが…そんな事、本当にするとは思えないなあ」

「でも…リヴァ様は、本気だったよ」

「はは、そうか。…まあ、誰にだって曲げられない信念はあるさ。…だがな」

「俺は…君以上に彼らを信頼している。なぜならそれは、君がこんなに真っ直ぐに育ってくれたからだ。まともな場所じゃなきゃ…人はこんな風に育たん」

「だから人間を滅ぼすっていうのもきっと別の意味があるさ。魔物なのに、人間よりも慈悲に溢れていて…優しい彼らならってね。そう思うんだよ」

「…そういう事だ。魔王軍に入る君を止めない。……父として応援させてもらうよ」

「ありがとう…お父さん…」

──その後。魔王軍に入ったラネットは、魔王軍に沢山の機械の技術をもたらした。そして、天才的頭脳で彼女は
人間ながらにして幹部に昇格するという快挙を成し遂げた。


そしてその裏に、もうひとりの少女が絡んでいる事を知る者はまだいない──

「…………幹部昇格、おめでとう!ラネット!!」

「ふふふ、貴女もね!」

Chapter7.『ロヴェルレイラハーツィオ

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このページへのコメント

ゴルドが他の幹部に比べると異彩を放っててすこ

1
Posted by 名無し 2021年02月19日(金) 19:37:36 返信

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