またーり書き込みしましょ(´・ω・`)

「ふぁ〜…よく寝た〜」

アタシ、アミィ!カラフルシティって街で
両親に代わって仕立て屋を営んでいるの!
今日は秋晴れのいいお天気。

「今日はお休みだからどこか出かけよっかな〜」

アタシは朝食をすますと、いつものイケイケな
服に着替えて外へ出る。
すると、丁度隣のお店からも人影が出てきた。

「あっ、咲希!おはよう!!」

「……おはよ」

彼女は青村咲希。
アタシの親友で、お隣で魔道具店を営んでるの!

「珍しいね、こんな朝から。仕入れに行くの?」

「……ちょっと、買い物」

「ショッピング!いいねぇアタシも着いてっていい?」

「……いいけど…」

なんか煮え切らない様子の咲希。ソワソワしてるけど、
何かあるのかな?

「よーしっそれじゃ決まりっ!
で、で、どこに行く予定なの咲希?」

「……パン屋の隣の魔石店」

「あー、あそこね!アタシもよく服の材料買いに行くよ!
んじゃ行こっ!」

「……引っ張らないで、アミィ」

そんなこんなでアタシ達は魔石店に着いたんだけど、
そこにはアタシ達のよく知る先客がいたの。

「あっ…アミィ、咲希」

「翠〜!こんなとこで会うなんて意外だね!」

彼女は松村翠。グリーンフォレストって言う森にある
ログハウスで1人暮らす女の子。アタシ達の親友でもあるの!

「にしても翠、魔石に興味あったの?」

「ううん、ここにはダイロさんの誕生日プレゼントを買いに来たの」

ダイロの?えーとえーと…ダイロの誕生日は11月の……あっ。

「あーっ!!ダイロの誕生日忘れてた!!」

「だ、ダイロさん可哀想…」

「そっか、鍛治に使える魔石を買いに来たってわけね!」

「うん…って、アミィ達もそうだったんじゃないの?」

翠がそう聞き返してくる。いやあ、そもそもアタシ
ダイロの誕生日忘れてて…。

「え?アタシは咲希が買い物するらしいから付き合わせてもらったんだけど……
あっもしかしてダイロのプレゼント買うつもりだったの、咲希!?」

「…………」

咲希は照れた顔で目を逸らした。…図星みたい。

「珍しいね、咲希が人の誕生日気にするなんて。しかもダイロの」

「…あれ、アミィ気付いてないの?咲希は毎年、
ダイロさんのプレゼントは私達が誘わなくても自発的に買ってるよ」

「えっ、嘘!?気づかなかった!ってかそれ、マジなの?」

そう言って咲希の方を向き直すとものすごく視線を逸らしていた。
多分マジだ、これ

「…………偶然だから。あんなのでも毎年プレゼントくれるから、
義務でお返ししてるだけ」

すごーく目を逸らして言い訳してる咲希の顔は、
赤く染まって見えた。…もしかして。

「もしかしてだけどさ、咲希ってダイロのことがっ…」

ものすんごい速度で口に手を当てられて、引っ張られた。
翠から少し距離を離したところで、耳打ちをされる。

「…………絶対違うから。
あと間違っても、アイツと翠の前ではそんな事言わないで」

絶対そうじゃんと思った。でも、人の想いを言いふらすなんて
可哀想だから、このお願いはしっかり聞いてあげないとね。あと顔が怖い。

「わ、わかった!わかったから。アタシと咲希だけのヒミツ!ね?
これでいいでしょ?」

「……だから、違うって…」

「あ、あの…どうしたの?二人とも…」

心配した翠が覗き込んできた。
どうしよ、この場はうまく誤魔化さないとね。

「んー、問題ないよ!いや、ダイロにプレゼント用意したことは
絶対秘密ねって話してただけ!サプライズでやるからさ!」

「わ、わかった!サプライズだね!」

「さーてそれじゃプレゼントの用意しようかな!
あ、でも二人と魔石で被ってもアレだからアタシはいつも通り
洋服作ろっと」

「……ダイロのやつおしゃれ興味ないからあんま着ないけどね」

「そうね〜。今年はちゃんと着るよう釘刺しとこっかな」

ま、一応毎年送ってる服は実は翠が見て喜びそうな
服なんだけどね。だけど今年は……

「……なに、ニヤニヤしてるの」

「ふふーん別に〜!」

その年のダイロは、誕生日に貰った贈り物を着て
休日をしばらく過ごしたと言う。
藍色を基調とした、彼にしては少しオシャレな普段着を。



サプライズも無事終わり、主に翠からのプレゼントに感涙を流すダイロを
眺めた後、アタシは帰り際に咲希に話しかけた。

「……ねえ、咲希。いや、ほんとに勘違いだったり、お節介ならもう言わないけどさ…
彼への想いは伝えなくっていいの?」

咲希は面倒そうにこちらへ振り向く。
しばらく黙った後、諦めたかのようにため息をつくと
閉ざしてた口を開いた。

「…………私、素直じゃないから。
あとダイロは翠のことが好きだから。
翠みたいなお淑やかな子じゃないとダメだから。」

閉ざしてた分、多くの言葉が咲希の口から綴られた。
ダイロの好みに自分は合わないと思って身を引いてるんだ。

「えー、そうかなあ。咲希も翠も、物静かって点では同じだし…
それにどっちもかわいいよ?」

「……気休めはいらない。アミィは分かるでしょ、
私と翠のタイプの違いくらい。」

うっ、気づかれちゃってたか。安易な気遣いは
かえって傷つけちゃうかも。

「ま、まーね…咲希はその…ちょっと翠と比べると
ダイロに対して厳しかったりするし、マイペースだよね。」

「……自覚はある。あいつ前にするとなんか腹たって、
いつも以上にいらないことまで口走っちゃうから」

「それだけダイロが特別ってことなのね」

「……それに、ダイロが翠を好きなら、そっちを優先したいから。」

「その翠は、ダイロのアピールに気付いてないみたいだけどね…」

「……それは私も同じ。アイツと会う日とか、少し見た目意識してるから」

「ああ!たまーに咲希、マニキュア塗ってたりとか、髪整えてるなーって時あるけど
ダイロ意識だったの!?無理無理!ダイロは気づかないタイプだよ!!
ましてや、普段の咲希のダイロに対する態度じゃ好意向けてるってわからないって!」

「……分かってる。…ほんと、ムカつくよ。
どこまでも翠一筋で、…どこまでもまっすぐで、どこまでも……」

「こりゃだいぶお熱だなあ」

とにかく咲希の想いが知れたのは良かったと思う。
これからはアタシがうまく取り持ってあげられるからね!
……でも。

「それでさ結局のところ最初に戻るけどさ…。
咲希の気持ちはダイロに伝えなくていいの?
ダイロの気持ちを優先する、それでいいの?
もちろん間違っちゃいないけどさ…。咲希の気持ちもアタシは
大切だと思ってるよ」

「……ダイロが翠に振られたら、アタックするから大丈夫。
……落ち目の時の方が男は落としやすいって、本にあった…」

なんの本だよ!?てか多分、ダイロが翠に振られるの
前提で考えてるよこの子!!
…とりあえず、割と打算的に動いてたみたい。
あはは、これ以上はアタシが深入りすることもないかもね。

「それならいいけど、そうなるとアタシはどっち応援すればいいかな〜。」

「……別に。ダイロと翠が結ばれたらそれはそれで
親友達が幸せになって良いことだし。
私は別に傷つかないから、そっち応援してればいいよ」

傷つかないって言うけど、絶対傷ついちゃうよ。
そんな意地を張ってる親友を前に、アタシは決心を決めた。

「……ううん、どっちも応援する!咲希も翠もダイロも大事な友達だもん!
それぞれの恋がうまく行くようにアタシ頑張るからね!!」

「……好きにして。とにかく、この事は…」

「わかってるって、絶対にダイロには秘密にするよ。
もちろん翠にも。あの子、この事知ったら絶対気にして
ダイロから身を引くだろうし」

「……うん。翠は絶対、そうする……」

その日アタシは親友の秘めてた想いを確認し、決意したんだ。
みんなが幸せな結末を迎えられるよう、アタシが何とかしないとねって。
親友の、意外なオモイが知れたある秋の事なのでした。

「……ちなみにアミィは好きな人いないの?」

「アタシ?アタシはねー、年中オシャレに恋してるからな〜。」

「……いちばんてごわいタイプだよ。アミィは。」
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